アマミシリケンイモリの「風船病対策」&「拒食対策」について~2024年3月版の徳留アクア工房の徳留としての経験則より~ (アカハライモリ、二ホンイモリ、オキナワシリケンイモリ、海外産イモリにも共通する情報だと感じています)

※2024/3/29に一部修正。本文中の「腎機能の低下=腎臓や皮膚から水を給収&排出する機能の低下」と読み替えて下さい。「両生類の場合は、腎臓だけでなく皮膚でも水分を給排水しているため」および「飼育ケースが蒸れることが風船病の引き金になりやすいと感じている=蒸れることで、皮膚にダメージとなる(やけどなどの皮膚の損傷、細菌の感染……要因は不明ですが、腎臓よりも皮膚の方が原因っぽいな)と感じる」からです。

※過去記事も、参考に出来る部分があるかと思いますので、リンクをのせておきます。

(アマミシリケンイモリ&アカハライモリなど)拒食後、餌食いの悪いイモリへの給餌方法(陸上飼育⇒水中飼育へ移行)
※2024年春に最新版の記事↓を作っています。風船病や拒食の予防、治療などについて「より簡単な方法を紹介」していますので、ぜひこちらもお読みください。 アマミシリケンイモリやアカハライモリの備忘録として「拒食後、餌食いの悪いイモリへの給餌方...
イモリの風船病と対策、イモリに多い死因と予防について(アマミシリケンイモリ・アカハライモリ・オキナワシリケンイモリなどに共通)
※2024年春に最新版の記事↓を作っています。風船病や拒食の予防、治療などについて「より簡単な方法を紹介」していますので、ぜひこちらもお読みください。 ※7/8に一部を追加。風船病対策として「万田酵素」について紹介しています。防カビや殺菌な...

アマミシリケンイモリの風船病対策について、2024年3月時点で「徳留アクア工房の徳留の個人的な経験則」として、情報を公開いたします。

・ペットとして飼育されているイモリの病気予防
・野生採集したイモリの健康な飼育と安定した繁殖
・イモリ飼育をされている愛好家の支援
・1匹5000円~数万円以上のイモリを健康に繁殖させたいと考えている方への応援

――という意味で、情報を公開しますので、もしよろしければイモリ飼育の参考にされて下さい。

ただし、あくまでも徳留の経験則です。100%正しいというわけではないと思っていますので、実施は自己責任でお願いいたします。

(高いイモリがすぐに死んでしまうのは悲しいですし、ちょっと大げさに言うと、人類の損失だと私は思っています。本当に、一期一会のイモリ達を失うのは、もったいないです。愛好家として「しっかりと繁殖を狙いたい」と思いませんか?)

(↑ちなみに……私も<気温が不安定な時期3~5月頃>にエアコンを入れていない部屋で気を抜くと、上のような状態に一晩でさせてしまうことがあります。綺麗な個体に限って、抵抗力が弱かったりして、採集直後は風船病になりやすかったりします。とはいえ、この状態からの治療法も無くはないので……個別管理での治し方を紹介します。完治するのは20~30%程度ですが、上手くやれば回復が見込めます!)

アマミシリケンイモリの「風船病」や「拒食」の引き金(25度以上の気温+空気の蒸れ+イモリの健康状態)

今までイモリ飼育を長年続けていて、経験則として「風船病」「拒食」は治療が難しいと感じています。そのため、予防することが重要だと私は考えていまして……最初に「引き金となる条件」をいくつか並べますので、飼育者の方は配慮してあげて下さいませ。

なお、風船病も拒食も、基本的には「飼育環境のズレ、悪化が要因となる」と徳留は感じています。

具体的には、次のような引き金が重なるほどに危なくなると感じています。

・25度以上の気温(28度でも元気な子もいれば、25度で拒食になる子もいます)

・飼育ケージ内の空気の蒸れ、よどみ、飼育水に動きが無い(両生類は、蒸れるのは本当に危険です!自然界でも、通気の良いところにいますし、よどんだ場所のイモリは高温期には風船病になっている個体がいたりもします)

・イモリの健康状態が良くない(採集直後や輸送直後で、体力が落ちていたり、内臓が弱っている。あるいは低温時に餌を与えすぎて消化不良を起こしている、内臓脂肪がついて肥満になっている)

・飼育水の汚れ(水替え不足はまだ大丈夫ですが、餌の食べ残しの汚れは致命的です)

・産卵期に卵を抱えている(風船病になる個体、メスが多いと思いませんか?)

・採集から1年未満など、体内に持っている毒素を飼育環境下で出してしまって自家中毒&集団中毒

――が複数重なると、なりやすいと感じています。

また、

・1匹が死んで水質が悪化→複数匹まとめて死亡

・1匹が毒素を出して水質が悪化→ぽつぽつと同じ水槽内のイモリが死亡

などのようなことも、採集個体ではしばしば起こりやすいです。(採集後に1年経過していない個体を「個別管理をしたのは良い」のですが「集中濾過で管理して、繋いでいる複数の水槽の個体を死なせてしまった」苦い経験が徳留にはあります)

風船病の原因(=腎機能の低下、水分排出の障害が起こっている)

徳留アクア工房の徳留としての個人的な見解ですが、上記の要因で風船病になる個体は

・体調悪化により、腎機能が低下する

・水分の排水が上手くいかない

・パンパンに膨れる=風船病

となっているようです。そのため、「風船病の予防には腎機能を低下させないことが大切」だと徳留は感じています。

また――
①寄生虫
②病原菌
――も風船病の原因になると言われますが、今回はその2つは割愛させて下さい。

おそらく、要因の一つではあると感じています(風船病はうつることがある、同じ環境で元気な個体とダメな個体がいるなどの経験則です)が……あくまでも「高温などを引き金にする腎機能低下」について、今回は紹介します。

なお、今回紹介する方法――それなりの注意や配慮、工夫や設備投資など――で、「高温などを引き金にする風船病」を程度までは防げます。

イモリの拒食の原因(その個体に対して、適温から外れている。20~22度以下にすると良い)

イモリの拒食ですが、私も長年悩んでいました。しかし、昨年の秋~冬に解決策のヒントを見つけられましたので、ここで紹介します。

イモリの拒食対策、その一番の方法は――

・その個体に対して、適切な飼育温度&飼育環境で管理する事

――だけです。

具体的には、アマミシリケンイモリ、アカハライモリ、オキナワシリケンイモリが拒食した時には「22度以下で管理する(できれば20度程度がベスト!)」ことで、改善が見られます。

私自身、夏の拒食対策として「エアコン管理(23~24度)」で夏場のイモリの管理をしていましたが、それでも何匹か拒食で全然餌を食べないことがありました。

そのような子達が、秋になって最高気温が22度以下になると……バクバクと餌を食べ始めたのです。

夏の間の、試行錯誤は何だったのかというくらいに。そして、そのまま無加温で冬の間に管理をすると、拒食の気配は消えました。

・陸上管理をする→水中化させる→活餌を与える→人工飼料に切り替える

・陸上管理をする→活餌を与える→水中化させる→人工飼料に切り替える

・個別管理をすることで、喧嘩などで餌を食べられない個体が出ないようにする

――という試行錯誤が効果が無かった子達も大丈夫です。飼育環境の温度を20度まで下げれば、拒食は2~3日から1週間程度で大幅に改善します。

自分でも、ちょっとびっくりしました。イモリ飼育は「温度」が本当に鍵です。

もちろん、個体差によって「30度を超える室温でも、元気でピンピンしている子」もたくさんいます。10匹いれば4~6匹以上は、元気に水中で餌を食べてくれます。

でも、「そうではない子達を元気に飼育するため」には、それなりの環境の準備が大切です。

イモリの風船病の対策(これは、イモリの拒食対策になります!)

上の方で、風船病の引き金として――

・25度以上の気温(28度でも元気な子もいれば、25度で拒食になる子もいます)

・飼育ケージ内の空気の蒸れ、よどみ、飼育水に動きが無い(両生類は、蒸れるのは本当に危険です!。自然界でも、通気の良いところにいますし、よどんだ場所のイモリは高温期には風船病になっている個体がいたりもします)

・イモリの健康状態が良くない(採集直後や輸送直後で、体力が落ちていたり、内臓が弱っている。あるいは低温時に餌を与えすぎて消化不良を起こしている、内臓脂肪がついて肥満になっている)

・飼育水の汚れ(水替え不足はまだ大丈夫ですが、餌の食べ残しの汚れは致命的です)

・産卵期に卵を抱えている(風船病になる個体、メスが多いと思いませんか?)

・採集から1年未満など、体内に持っている毒素を飼育環境下で出してしまって自家中毒&集団中毒

――が複数重なるとなりやすいと感じています、と書きました。

この状態を、1つずつ潰していけば、風船病の発生率や拒食になる可能性を大きく下げられます。1つずつ、具体的な方法や目安費用などを紹介していきます。

・25度以上の気温(28度でも元気な子もいれば、25度で拒食になる子もいます)

個体差が大きいですが、予防のためには水温をあげないことが一番重要だと感じます。

経験則では、「鹿児島市の32度の部屋であっても、風がしっかり通っていれば元気な子達」もたくさんいました。しかし、その一方で……風船病は「26~28度の水温で、空気が蒸れると個体によっては発生する」と感じます。拒食は「26度を超えたら、弱い個体から餌を食べなくなる→次第にガリガリに痩せる」と感じてもいます。

そのため、どうしても風船病や拒食にしたくないイモリ(繁殖用の種親、高額だったイモリ、お気に入りの子達)などは「24度以下の環境で飼育すること」をお勧めいたします。

また、完全に拒食になってしまったら「20度まで下げることで改善ができる」可能性が高いです。(うちのどうしても食べなかった子達も、秋に気温が下がるだけで。全部の子達の餌食いが改善されました)

↓元々の生息地は、山の中や川沿いで「ちょろちょろと水が動く場所」にイモリは居ます。完全な止水では、野生のイモリでも風船病になっていることがありますので、気温や水温は重要です!

↓夜の方が、活発に動いています。涼しい日の方が、好みのようです。

水温を下げるための工夫①部屋ごとエアコンで管理する

人間用のエアコンで、部屋ごと管理する方法です。徳留はイモリ部屋を作って、管理していますが……4.5畳程度の部屋で1ヶ月8000円~1.2万円程度の電気代が掛かりました。

また、次のような対策もすると電気代の節約が可能です。

・なるべく日陰の部屋をイモリ部屋にする(南側の部屋よりも、北側の方が省エネにできます)
・部屋の窓の下側に断熱材を貼ったり、プチプチを貼ったり、扉の隙間を無くすために隙間テープを貼ったりする(保冷効果を高めることも重要です)
・扇風機を回して、炭を置き、空気清浄機を掛けるなどして、湿気やカビ対策、空気のよどみ対策をする(カビや結露は建物を傷めます。適度に換気をしたり、空気を除湿して対策しないと……家族や大家さんに怒られます……otz)
・なるべく最新版の省エネエアコンを購入する(あたらしいエアコンほど、省エネになっています。下手すると、5~10月のエアコン代の差額で安いエアコンが1台買えるくらいになりますので……余裕がありましたら、ぜひ取替えしてみて下さい)

水温を下げるための工夫②水槽用クーラーで管理する

イモリ水槽のためだけに、エアコン管理はできないかな……という方には、水槽用のクーラーを使う方法がお手軽です。「90~120㎝水槽の中に浅く水をはって、イモリの飼育ケースを並べる」ことで、複数ケースの管理がラクに出来ます。

水を満タンにするわけでなければ、60㎝用の水槽用クーラーでも、充分に効果を発揮してくれます。……とはいえ、水槽用クーラーの購入には「下手な人間用エアコンが買える値段(数万円~)」がかかります。(小型で良ければ、2万円前後で選べたりもします)

そのため、ヤフオク、メルカリなどで中古の状態が良いものを狙うのもアリですし――ちょっと奮発して新品購入するのも(副業とか、バイトとか、ギャンブ……げふんげふん、お馬さんや銀色のボーリングなどでの、あぶく銭などが入りましたら、ぜひ検討するのも)アリかもと。

こちらも、次のような対策をすると電気代の節約が可能です。

・なるべく涼しい部屋に置く(リビングなど、人間がいる場所ならエアコンが元々入れられるので、熱い部屋よりも省エネになります)
・ホースや配管、水槽などを断熱材で覆う(冷気が逃げるのを防げます)
・クーラーからの廃熱を効率よく部屋の外に出す(ベランダなどに廃熱を上手く逃がすことで、効率がアップします!)

(↓徳留アクア工房も、海水魚飼育をされていた方から水槽用クーラーを譲って頂きました。今年の夏、活躍してくれることと思います!)

水温を下げるための工夫③凍らせたペットボトル、発泡スチロール箱などを最大限利用する!!

一般的な家庭で「あまりお金を掛けずに夏を乗り切る」には、この方法が現実的かなと思います。数千円と冷蔵庫があれば、毎日1回の保冷剤交換は必須ですが、実施が可能です。

10匹程度までの飼育であれば、1日に1回の交換で充分に対応できますし……「拒食したイモリだけ」「餌食いが悪いイモリだけ」「痩せ始めたイモリだけ」でも、この環境で飼育すれば回復や体型の維持が見込めます。

☆用意するもの
・なるべく大きな発泡スチロール箱(熱帯魚屋さんや魚屋さんとかで、安価でもらえる場合があります。野菜用は粒が荒い箱があって水漏れをする廉価品もあるので、ご注意を!!)
・ビニールハウス用のビニール(もしくは、厚手のゴミ袋)
・エアポンプ&小さめのスポンジフィルター
・温度計
・その他、必要な物(ソイル系の底砂、軽石や植木鉢などの陸地になるもの、ウイローモスなどの低温や低光量に強い水草)
・発泡スチロール箱に完全にはいる、背の低い大き目のプラケース(亀用などで売っている商品です)

・保冷剤×1~6個(1~3個ずつを交換しながら使用します)
・タオル(冷え過ぎを防ぎ、溶けすぎも防ぎます)
・保冷剤を包む銀色の保温バッグ(100均などで売っている、アルミ蒸着の保温バッグが最適です。冷え過ぎを防ぎ、溶けすぎも防ぎます)

(具体的な方法)

①発泡スチロール箱の蓋を、適当な大きさにくり抜きます。

採光するためにくり抜きます。短期的には良いのですが、5日以上など真っ暗な環境で飼育すると、流石にイモリも状態を崩すようです。

鑑賞したければ大き目の窓を。採光だけでよければ、なるべく小さめの窓を開けて下さい。

 

②窓をビニールで塞ぐ。

冷気が逃げないよう、窓を塞ぎます。でも、全部をふさがずに「少しだけ空気が逃げる隙間」を空けておいて下さい。換気のために必須です。(あるいは、窓は全部塞いで別の場所に空気穴をあけるという方法でも良いです)

 

③発泡スチロール箱の中に飼育容器をいれる。

発泡スチロール箱の中に入れる飼育容器は、なるべくシンプルな環境にします。植物は光合成が低温や暗い環境なので抑制されますので、種類を選ばないと枯れます。「飼育ケース+細めのソイル系の底砂+上陸できる軽石や石などの陸地+エアポンプ式のフィルター+水替えの回数に合わせた水深」程度の環境が良いと思います。

 

④エアポンプ式のフィルターを中に入れて、作動させる

水の浄化と発泡スチロール箱の中の送風(空気の入れ替え)をエアポンプでします。なので、エアーが止まるとイモリが死ぬ恐れがありますので、ご注意ください。

(煩いエアポンプにお困りの方は、「水心のエアポンプ」や「ノンノイズ」が個人的には静かでおすすめです。また水量の必要ないイモリ飼育には「なるべく小さいサイズ(~30㎝水槽用など)」を買うことで、ポンプの音が小さくできます)

 

⑤凍らせた保冷剤を保冷バッグに入れて、発泡スチロール箱の中に入れる

凍らせた保冷剤を直接飼育容器にいれると、「急激に温度が低下する&1日に何度も交換するのが大変」です。保冷バッグにいれることで「毎日、朝に1回保冷剤を交換すればOK」なようにできます。

温度計を見ながら調整をしますが――目安としては、「100均で売っている保冷剤1~3個をタオルで包んで、保冷バッグを2重にしていれる」ことで、十分対応可能だと感じています。冷えすぎる時には「保冷バッグの中に――タオルを多めに入れる、袋のプチプチで包む、保冷バッグをさらに大きな保冷バッグで包む」や「保冷バッグごと小さな発泡スチロール箱に入れる」ことで調整をします。

発泡スチロール箱のサイズ、中に入れる飼育容器の水量、エアポンプで送る空気の温度と量、周囲の置き場所の温度などでも、どれだけ持つかが変わってきますので……ある程度の「各自の環境に合った実験」は必須です。

なお、「1日に複数回、保冷剤の交換が必要=飼育容器内の温度の乱高下が起きる」ため、その状態はお勧めしません。保冷剤にタオルや断熱材を巻くことで調整ができますので、必ず「1日1回交換で十分に20度以下を保持できる環境」を狙って下さい。

(↑暗いことでイモリが動かないことは無いのですが、長期間の暗闇は「金魚や熱帯魚では、エラ病になる」「暗い環境では視角に異常が出たり、骨に異常が出たりする個体がいる(多分、ビタミン不足のクル病?)」など、経験的に良くないと徳留は思っています。また、「外から観察しやすくないと、世話のタイミングを逃してしまう」こともあるので、窓は大切だと感じています)

番外編:井戸水(を通した塩ビ管などを水槽に通すなど)で管理する

コレはちょっと例外的ですが、井戸水や山水は「一年中、ある程度の温度を保持している」ことが多いです。そのため、井戸水などをパイプで引いて、間接的な冷却も可能ですが――ほぼ9割以上の住宅では無理な方法かなと思います。

でも、井戸水で生き物を飼育するのは、私にも憧れがあります(笑) 以前、YouTubeとかで見たことありますが、ニジマスとかヤマメの飼育をしている方もいて、本当に良いですよね。

ちなみに、「生体や水草の流出防止」「保有する病原菌の流出防止」などから、野外への飼育水の直接の排出は避けた方が好ましいと徳留は思っています。

なるべく、トイレやお風呂場などで処理をして、下水を通すように排水することが環境には優しそうです。

・飼育ケージ内の空気の蒸れ、よどみ(両生類は、蒸れるのは本当に危険です!)

高水温×空気のよどみは、本当に危険です!!

対策としては――

・昆虫用のプラケースを使う
・金網を使う
・自作で網戸ネットを加工するなどして、蓋を作る

――など「通気性を良くする事」が一つです。

また、「飼育容器に直接ライトを置かない=廃熱を逃がせる隙間を作る(ライトスタンドを使う)」「エアポンプで新鮮な空気を送る(エアフィルターを使う)」なども効果的です。

(↓のケースは、鑑賞用にはかなり便利なのですが、通気性があまりよくありません。イモリや両生類に使用する場合には、ドリルで空気穴をあけるとばっちりです!)

・イモリの健康状態が良くない(採集直後や輸送直後で、体力が落ちていたり、内臓が弱っている。あるいは低温時に餌を与えすぎて消化不良を起こしている、内臓脂肪がついて肥満になっている)

同じ環境でも、風船病になる個体とならない個体がいます。また、拒食も「ケンカ負けする個体」から発生しているような印象を私は受けています。

そのため、次のような対策や配慮をすることで予防に繋げられます。

・個別で1匹ずつの単独飼育できると最高です!!
(餌食いを確認して、食べられていない子はすぐに隔離して単独飼育します)
・餌の与えすぎは消化不良や内臓脂肪の原因となって、病気や突然死の引き金になります。痩せ具合や太り具合を見て、餌やりの管理をしてあげて下さい。

・輸送直後はイモリの状態が悪くなることがあります。(皮膚呼吸が上手くできていない、気温差があった、警戒してストレスを感じているなど)そのため、輸送直後は「落ち着ける環境にしてあげる」「毎日、それとなく餌食いや体型をチェックする」ことが予防に繋がります。(何か良くなさそうであれば、すぐに隔離して単独飼育します)

(↓は拒食で痩せてきつつあるアマミシリケンイモリ。加計呂麻島で採集した子のなかの1匹なのですが、加計呂麻島のアマミシリケンイモリは、大島産にくらべて神経質&高温に弱い印象があります。警戒心が強いのだと思います)

・飼育水の汚れ(水替え不足はまだ大丈夫ですが、餌の食べ残しの汚れは致命的です)

飼育水の汚れにも、いくつかのパターンがあります。その中で、一番危険なのは「餌の食べ残し」です。

水替え不足=じわじわと飼育環境が悪化、なのですぐに死ぬようなことはないのですが……「餌の食べ残し=アンモニアが発生=皮膚から吸収=体全体にダメージ!!」となって、両生類には致命的なことになります。

・人工飼料に慣らすとき
・採集直後で、あまり餌を食べていない

というときは、本当に「食べ残しはすぐに取り除く」ようにしないと、危険です。(金魚やメダカの飼育とも一緒ですね)

例えば↓のように、自然下では「オタマジャクシがいるような浅い環境」にも良く住んでいます。山水の流れ込みがあり、ちょろちょろと動いている環境が好きな様です。水の入れ替わりが無いと棲めないのか、生息していないことが多いです。

そういう意味では、コップ1杯でもいいので、理想は毎日の水替えです(笑)

ただ、忙しいと毎日水替えをするのも大変だと思います。そんなときの食べ残しの対策としては――
・活餌を兼ねた巻貝、メダカ、グッピー、エビなどを飼育ケースに一緒に入れる(食べ残しを食べてもらえる)
・人工飼料を確実に食べる、慣れている個体を一緒に入れる(つられて食べることも多い)
・イモリに悪さをしない生き物を入れる(食べ残しの掃除用。小型の金魚は便利)
――ことで、最悪の事態は防げます。

とはいえ、「イモリがしっかりと餌を食べれているか?」の確認はしっかりとしてあげて下さい。活餌だけが成長して、どんどん大きくなることもしばしばありますから。

(↓のような本土にいるようなオタマジャクシも、実は良い餌になります。拒食の子イモリが小さなオタマを食べたりしますので、季節限定ですが「すごい餌」だと思っています)

・繁殖期で卵を抱えている(風船病になる個体、産卵前後のメスが多いと思いませんか?)

これは個人的な感覚なのですが、風船病になる個体はメスが多いと感じています。

多分、「産卵は身体にも大きな負荷がかかるため」だと思うのですが、繁殖期の前後には風船病の予防として、温度対策をしっかりしてあげて下さいませ。特に「急に熱くなる日」に、うっかり部屋を閉め切って外出~帰宅したら、膨らんでいた……というのを私もしてしまいましたので、ご注意を!!

↓のような良い色のイモリ(産卵後のメス)ですが、今、治療中です……(´;ω;`)

・採集から1年未満など、体内に持っている毒素を飼育環境下で出してしまって……自家中毒&集団中毒

こんな話を聞いたことはありませんか?<野生個体や採集個体のイモリは「拒食しやすい」「すぐに死ぬ」「変な菌や寄生虫がいる」>という話を。

実際、採集してから1年以内の個体達は、ある程度の配慮をした方が安心です。

・自然下で活餌などをメインで食べていましたので、冷凍赤虫でさえ拒食する子がいます。
・体内に毒を持ち、警戒心も強いので、ストレスなどの個体差によってあっさりと拒食や風船病になる子もいます。

・国内の野生イモリはカエルツボカビなどの菌を保有している可能性が高いです。イモリ自体に影響はほぼない(らしい)のですが、外国産のカエルやイモリには致命的な菌の場合もありますので、飼育機器の使い分けや殺菌は必須です。

・野外採集の生物は、基本的に寄生虫がいると思って取り扱いをする必要があります。(目に見える線虫、ダニ、ヒルだけでなく、目に見えない寄生虫もいる前提で取り扱わないといけません。健康な個体は寄生虫と共存できていますので、徳留は無理に駆除する必要はないと思っています。水ダニやヒルなど、簡単に駆除できるモノだけ取り除きます)

――このような要因で、採集してからすぐの個体は、下手な管理をすると「飼育容器の中のイモリが、一気に全滅!!」というようなことも起こります。その理由は――「野生のイモリは毒を持っている」からです。

イモリは、小さな頃からアリやヤスデなどの小動物を食べることで、体内にテトロドトキシン(フグの毒と同じような生物毒です)を溜め込んでいます。

そして、外敵に襲われたり、強く握るなどされると、イモリは皮膚から毒を分泌して、身を守ろうとします。

実際、採集したイモリを素手で強く握ってしまうと……指がピリピリとした感じになることがあります。その時には、ちょっと苦いような独特の匂いがします。

(野生個体は↓のような持ち方で「強く抑える」などをすると、毒を出すことがあります。写真はCBのマダライモリかつ小型で体重も軽い&人慣れしてる個体&陸上飼育なので、優しくすれば基本的には大丈夫ですが)

今では私も、イモリの扱いに慣れたので「なるべく毒を出させない=イモリの体力を消耗させない」配慮ができるようになりましたが、初心者の時には「写真を撮ろうとして触りまくって、警戒されて毒を出させてしまう」ことがありました。そして、そんなイモリを「洗わずにそのまま飼育容器に戻すと……飼育容器内のイモリが全滅する危険性が高く」なります。自分達で出せる毒ですが、耐性はあまり持ってはいないようです。

なので、対策としては――
・水量のある容器で単独飼育することが最高!(毒を出しても、少なくて済む&最悪、1匹しか死なない)
・なるべく少なめの数で飼育する(毒を出しても、致死量にならないようにする)
・陸地を作る(水質悪化した時に、陸上に逃げられるようにする)
――などが効果的です。

なお、飼育下で半年~1年以上経過したイモリは「毒がほとんど排出できた(毒を持っていない)」状態になっている印象です。そのため、複数飼育や繁殖のペアリングなども安心して行うことができます。

また、風船病や拒食なども掛からない印象が強いです。(飼育下に慣れることで、ある程度の環境変化への耐性やストレスを感じなくなっているのかもしれません)

(ある意味、究極の方法)水場の無い~ほとんど無いような陸地で飼育する

風船病の原因は、究極に言うなら「水分の排出が上手くいかないこと」です。また、水質悪化や自家中毒も「水が無ければ、他の個体には影響がほどんど出ない」ことも予想できます。

実際、ちょっと暑い季節には「陸上飼育すること」で、風船病や拒食は予防が出来ます。

ただし、餌の与え方が「活餌をバラまく」「ピンセット給餌」「置き餌」などで対応する事に成るので、世話の時間が大幅に増えてしまう可能性が高いです。

・活餌の用意が出来る方(コオロギなどを自家繁殖させている方)
・一時的に陸上飼育することで、病気を予防したい方(採集個体の毒抜きの期間など)
・手間暇かけても大丈夫という方

ーーには、かなりお勧めの方法ですので、場合によっては検討してみて下さい。(餌食いにばらつきも出やすいですので、日々、要観察が必要ですので、ご注意を!)

風船病の治療について(イモリの腎機能を回復させることが出来れば、治療が可能です!)

拒食の治療は「水温を20~22度に下げること(個別管理で餌食い確認&こまめな水替えをしてあげるとベスト)」ですが、風船病に関しての治療については下記にまとめます。

今のところ、私も20~30%程度しか完治出来ていないのですが……治療の効果はありますので、諦める前に試してみる価値はあります。(完治の定義=体型が正常に戻り、餌を食べられるようになる+再度、水に入れても2ヶ月以上再発しない)

下のイモリみたいに、口から粘膜がはみ出しつつある個体でも、場合によっては完治を目指せます!!

※今のところ、「針で腹水を出す」ことは、うちではしていません。レントゲンやエコーを取らないと「どこに刺して良いのか分からないため」です。むやみに刺しても、体力の消耗や感染症につながるかと思っています。

※抗生物質や殺菌剤も使っていません。何となく使ってみた「万田酵素」がそれなりに効いているようですが、本来でしたら「イモリのための生理食塩水がベスト!」たと思っています。誰か、イモリの生理食塩水のデータ、教えてもらえたら嬉しいです……otz

治療の流れ(皮膚呼吸に配慮しつつ、体内の水分を飛ばす→餌を食べられるようになったら、活餌を与える)

治療の流れとしては、「陸地で体内の水分を飛ばす=体型を戻して、無理なく餌を飲み込めるようにする」→「活餌を与えて、体力の回復&内臓の回復を図る」流れになります。

①風船病にかかったイモリを飼育容器から取り出して、通気性の良いプラケースに移動します。

→通気性の良いプラケースにすることで、徐々に水分を飛ばすようにします。急激に乾燥させると皮膚呼吸が出来なくて死ぬので、1~2ヶ月かけるつもりで治療をして行きます。

100均のプラケースでも良いですが、狭いと「水分分布の避難場所がない=乾燥して死ぬ、水分過多で給水してしまう」ことがあるので、なるべく広めのケースがおススメです。

 

②プラケースに「水道水を1㎝だけ入れた植木鉢の水皿」、「カリカリに乾燥したクヌギの落ち葉」を入れて、万田酵素(スプレー式の薄めずに使えるタイプ)をまんべんなく吹き付けます。

→陸上飼育にすることで、余分な水分の吸収をしないような環境にします。なお、落ち葉の代わりにティッシュやキッチンペーパーを代用することも可能です。(乾燥しすぎには注意ですが)

なお、乾燥しすぎると皮膚呼吸が出来なくて死ぬことがあるので、毎日「万田酵素を掛ける」ことで、イモリの表面を濡らしてあげます。水道水だと水分を皮膚から吸ってしまうためNGです。本当はイモリ用に生理食塩水を作るのが良いと思われますが……残念ながらイモリの血液のデータが無く、今のところ作れません。しかし、なぜかダメ元で添加した万田酵素がアマミシリケンイモリの風船病には、効いてくれています。

※万田酵素には、抗菌や防カビ作用があるので、ケージ内の殺菌を目的に添加していました。でも、イモリに掛かっても問題なさそう&状態が悪くはならないので、今のところお守り的な感じでも使用しています。水道水はNGです。すぐに膨れてしまいます……イモリちゃんの生理食塩水のデータ、欲しいです……OTZ

③イモリの体型が戻るまでは、絶食が基本になります。(体力を消耗しないよう、20度以下の環境が好ましいです)

1~2ヶ月かけて水分を抜いていきます。気温が高いと代謝が上がる=痩せてしまうため、なるべく涼しい環境に置いてあげます。体感的には25度以下であれば、大丈夫な印象ですが――20度以下に出来れば、さらに安心です!

ある程度の体型が戻ったら、子イモリを飼うような環境に移行させると管理がラクです。(↓のように、プラケースで100%陸地+黒土+植物が植わっている+シェルターを入れるなど)

④体形が戻ったら、活餌を与えます。

1~2ヶ月、陸地で管理してあげて下さい。その状態では「ある程度痩せている」と思いますので――小さめのコオロギやハニーワームなどの生餌に反応してくれることと思います。

・小さなコオロギ
・ハニーワーム
・バッタ(イナゴ系は美味しくて好むようです。ショウリョウバッタやオンブバッタは苦手のようです)
・冷凍赤虫(ピンセットや置き餌で食べる子もいます)

などを試してみて下さい。活餌を食べてくれたら、肉付きが良くなるまで陸地で管理します。

⑤アクアテラリウム水槽で飼育し、入水するか、再発しないか、などを確認

痩せていた体型が戻ったら、アクアテラリウム水槽に入れます。

・イモリが自分から水に入るか?
・風船病が再発しないか?
・餌は食べているか?
・他のイモリとケンカしていないか?

などの様子をみながら、1~2ヶ月経っても再発しないようなら「無事に完治」したと言えると思います!

まとめ:アマミシリケンイモリの風船病や拒食の予防と治療について~これから、暖かくなる季節ですので、対策をしてあげて下さいませ~

ここまで、アマミシリケンイモリの風船病対策と拒食対策について、2024年3月時点の徳留アクア工房の徳留としての最新情報を紹介してきました。

・野生採集のイモリを飼ってみたいけれど、病気や死ぬのが怖い
・飼育しているイモリを死なせたくない。病気の予防をしたい。
・今飼育しているイモリが、拒食や風船病になっているから、何とかしたい

――という方の、お役に立てれば幸いです。

徳留アクア工房の徳留としては、本当にイモリが好きな人間なので……「野生個体の魅力」「養殖個体の魅力」「野生個体を自分で繁殖させることの魅力」などを、より多くの方に広げていけたら良いなぁと考えています。

また、徳留アクア工房では野生個体も厳選して販売していますので、「購入したイモリを死なせたくない方への情報提供」「購入したイモリを累代飼育するためのノウハウの提供」を、しっかりとして行くことが使命だとも考えています。

実際、私としても風船病の治癒率は20~30%程度と、まだまだ高くはありません。10匹のうち、上記の治療方法で3匹くらい成功した程度です。本当に「予防が第一!」なのが、風船病なのです。

(拒食に関しては「水温を20度に下げる&個別飼育する」ことで、ほぼ対策が出来ると思います。過去記事の水中→陸上飼育→水中化などを試す前にしてみて下さい。より安全で確実だと徳留は感じています)

イモリの健康な飼育のノウハウ、「野生のイモリは死にやすい」ことへの対応策――ちょっとしたことだったり、設備投資や電気代がかかる方法だったりもありますが、ぜひ今年の暑くなる季節の対応策として、検討してみて下さい。

病気になると治療は大変です。なるべく、予防できるところは予防してあげて下さい。

あるいは「飼育下で1年以上経過した、丈夫な慣れた子」「自家繁殖の丈夫な子達」のニーズも、ありそうだなぁと感じています。飼育器材も「イモリが死ににくい水槽(サイドフローで水替えや排水が容易)」なども、作っていけたらより良いかもしれません。

飼育下でのより良い環境つくりのためにも、野外の生息地の様子を観察することを今後も大切にして行きたいと思います。

――ということで、また次回の記事でお会いしましょう♪