イモリの風船病と対策、イモリに多い死因と予防について(アマミシリケンイモリ・アカハライモリ・オキナワシリケンイモリなどに共通)

※2024年春に最新版の記事↓を作っています。風船病や拒食の予防、治療などについて「より簡単な方法を紹介」していますので、ぜひこちらもお読みください。

 

アマミシリケンイモリの「風船病対策」&「拒食対策」について~2024年3月版の徳留アクア工房の徳留としての経験則より~ (アカハライモリ、二ホンイモリ、オキナワシリケンイモリ、海外産イモリにも共通する情報だと感じています)
※2024/3/29に一部修正。本文中の「腎機能の低下=腎臓や皮膚から水を給収&排出する機能の低下」と読み替えて下さい。「両生類の場合は、腎臓だけでなく皮膚でも水分を給排水しているため」および「飼育ケースが蒸れることが風船病の引き金になりや...

 

※7/8に一部を追加。風船病対策として「万田酵素」について紹介しています。防カビや殺菌などに効果があるようで、「そのまま使えるスプレー」に関しては、植物にもイモリにも悪影響は無さそうです。(あくまでも徳留の経験則ですので、自己責任でお願いいたします)

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基本的にアカハライモリやシリケンイモリは強健な生き物です。

例えば、他の動物や鳥などに噛みつかれて手足や尻尾がちぎれても、根元から再生する生命力を持っています。また、「イモリはガンが出来ても死なない」「脳が傷ついても再生する」という話も耳にしたことがあります。(信憑性は不明ですが……そんな話が出てくるくらい、生命力のある生き物であることは間違いないのは事実です)

しかし、ちょっと気を抜いたり、不運が重なると……死んだり、病気になったりすることがあります。

今回の記事では、イモリの死因と予防、病気や対策について紹介したいと思います。例えば↓は風船病になってしまった、我が家のアマミシリケンイモリです。(風船病は治療法が、ほぼありません。9割方死んでしまいますが……飼育容器に『万田酵素』を薄めてスプレーすると、何もしないより餌食いが改善されるような気がします)

 

イモリの死因(アカハライモリ・シリケンイモリ共通)

イモリに多い死因は、次のようなものがあります。

☆乾燥死(イモリが脱走して、干からびる)

水槽などから脱走して、半日~2日程して脱水と乾燥で死亡します。世の中で飼育されているイモリの死因の50%くらいは、この死因じゃないかなと思っています。対策としては「容器にしっかりと蓋をする」ことで防げます。

が……水槽飼育をしていると、小さな隙間から脱走することも多いので、「死なせたくないイモリはプラケースで飼育する」という方法が一番かなと思います。

☆内臓疾患(餌のやりすぎによる脂肪肝など)

成体になったいもりは2~3日に1回の給餌で充分です。イモリの太り具合や痩せ具合を見ながら、給餌の量を調整するのですが……「毎日餌を与えると脂肪肝になって突然死する」ことがあります。

毎日餌をあげていると「明らかに太ってきます」ので、兆候が見えたら2日に1回の給餌などに切り替えてあげて下さい。

☆拒食による餓死(イモリが餌を食べない!)

ある日突然、餌を食べ亡くなったり……じわじわと食が細くなって、気が付くとイモリがガリガリになっていたり。両生類の拒食は、本当に厄介です。なにか1種類でも食べてくれる餌が有ればいいのですが、吐き戻したりすることもあって、拒食から立て直すのはなかなか難しかったりします。

対策としては「落ち着いた環境に置く」「食べる餌を探して、与える」「水場を多くしたり、減らしたり、環境に変化をつける」――ということを試してみます。なかなか立て直すのが難しい拒食ですが、過去記事にもまとめていますのでお時間のある時に、見てみて下さい。

(アマミシリケンイモリ&アカハライモリなど)拒食後、餌食いの悪いイモリへの給餌方法(陸上飼育⇒水中飼育へ移行)
※2024年春に最新版の記事↓を作っています。風船病や拒食の予防、治療などについて「より簡単な方法を紹介」していますので、ぜひこちらもお読みください。 アマミシリケンイモリやアカハライモリの備忘録として「拒食後、餌食いの悪いイモリへの給餌方...

☆消化不良(体内にガスが溜まる)

古い餌や傷んだ餌を食べてしまうと、消化不良で体内にガスが溜まることがあります。また、冬場などの寒い季節に餌を与えすぎると、消化できなくて(体内で餌が腐敗して)ガスが溜まることがあります。

対策としては、開封から3ヶ月以上経った餌を与えない、冬場は加温する(もしくは餌の量を調整する)などで対策します。

☆たまご詰まり(メスだけに発生)

イモリのメスの場合、たまごをうまく産めないとたまご詰まりになることがあります。予防としては、「産卵床となる水草や足場をいれてあげる」「なるべくオスメスのペアで飼育してあげる」ことで防げます。

なお、イモリの繁殖を考えていない場合は(ちょっとかわいそうですが)生まれた卵をそのままにしておくことで、親が卵や幼生を食べるので、イモリが増えることはほぼ有りません。どうしてもこれが嫌な場合は、「オスだけ選んで飼育する」のが一番の方法だと思います。

☆病気(飼育している容器の水質悪化やイモリの感染症など)

元々再生力の高いイモリにとって、イモリが罹る致命的な病気は、観賞魚などに比べると多くは有りません。

しかし、怪我をしていると「傷口にもわもわと白い綿のようなモノが付く=水カビ病」や「体内に水分が溜まって、体がパンパンに膨れあがる=風船病」などがイモリの病気として有名です。

なお、水カビ病は治療で回復させることが(体力のある成体なら比較的簡単に)出来るのですが、風船病は明確な治療法がないため、基本的には「予防する」「発症した個体は隔離する」しか対処法がない怖い病気です。見た目に綺麗な個体程、なぜか風船病になって死なせてしまう……そんなショックなこともあります。

イモリの病気の予防(アカハライモリ・シリケンイモリ共通)

アカハライモリ、アマミシリケンイモリ、オキナワシリケンイモリなどの日本産水棲イモリの病気は、予防することが一番です。

元々強健な生き物が状態を崩す=致命的な病気&致命的な状態ですので、そうなる前に対策をするのが重要なのです。

予防①飼育環境を整える(水量・隠れ家・温度)

イモリの飼育に適した環境を、見なおしてみて下さい。インターネット上や飼育書籍など、色々な媒体で各イモリの飼育情報は手に入ります。なお、古い情報が載っている場合もありますので、「必ず2か所以上の情報源から飼育情報を入手すること」を心掛けてみて下さい。

また、夏場の高水温にも気をつけてあげて下さい。28度を超えてくると、国内産イモリでも厳しい環境のようです。

予防②餌をしっかり食べさせる(人工飼料・冷凍赤虫・活餌など)

イモリの場合、餌を食べていたらなんとかなる……という場合も多いです。また、徐々に痩せていく場合「餌を食べても吐き出している」ことがあります。人工飼料を吐き出す時には、柔らかい餌=冷凍赤虫や生餌、水でふやかした人工飼料を与えてみて下さい。

特に、拒食の時や水槽にお迎えしてすぐの時には、(人工飼料を食べなくても)冷凍赤虫や生餌などを使って、水槽でのごはんに慣れさせてあげて下さいませ。

なお、「入れっぱなしで悪さをしない活餌」としては、ミナミヌマエビやミゾレヌマエビ、小さなメダカなどが活餌におすすめです。また、陸生の強い幼体などではワラジムシが活餌として活躍してくれます。

予防③定期的な水替え(なるべく綺麗な環境で飼育)

イモリは皮膚から水分を吸収したりして、代謝を維持しています。そのため、飼育水=イモリの飲み水と言っても過言ではありません。定期的な水替えで、なるべく綺麗な飼育水を保ってあげて下さい。

また、定期的な水替えが難しい場合には「水量を多めに入れる」「陸地を作る=飼育水が汚れた時に陸上に避難できる」という保険を掛けておくことも大切です。

予防④病気の個体は隔離する

これは熱帯魚でも、人間でもあたり前のことですが……病気になったら、他の元気な個体に移さないように「隔離」します。病原菌を移さないだけでなく、病気の個体は餌食いが落ちたり、喧嘩で弱りやすくなったり、しています。

「この子、ちょっとおかしいな?」と思ったら、予備のプラケースなどに隔離してあげましょう。

 

余談:イモリの風船病について(予防することが大切&陸上飼育で持ち直せる??)

ちょっと余談ですが、イモリの風船病について紹介します。風船病は「体内の水分調整が出来なくなって、体内から水分を排出できなくなる=体がむくんで、風船のようにパンパンになっていく病気」です。

↓の写真が、風船病のイモリです。頭~お腹が膨れています。

↓横からの写真。みづらいですが、のどや手足がむくんで、膨らんでいます。

☆原因+治療:腎機能障害による、体内水分調整の不良?

風船病の原因は、細菌感染による腎機能障害&体内の水分調整機能の不良だと言われています。

治療方法としては、9割以上は1週間程度で死んでしまうのですが……残り1割以下では「完全陸上飼育に切り替える」と水分を過吸収しなくなるので、餌食いが回復する子もいたりします。

「ぎゅっと固く絞ったミズゴケ」や「湿らせた腐葉土(無農薬の落ち葉)」などを足場にして、飼育します。しかし、なかなか長生きはしないのが現実です。

水質を綺麗にして、細菌感染を防ぐ=予防するしかないのが、もどかしくもあります。

なお、これは私個人の感覚なのですが……「万田酵素の薄めず使えるスプレー」を陸上飼育の時に、飼育容器内やイモリにスプレーすることで、餌食いや体型(むくみ)が改善する気がします。

長生きはあまりしてくれないのですが、全然餌を食べない個体やすぐに死んでいたような状態の個体が、コレをすることで餌を食べてくれるので……「苦しむ時間が長引く」という側面もありますが、もうちょい上手くなにかすることで、イモリの風船病を完治させられないかなと探っています。

なお、風船病の発生した飼育容器は「容器丸洗い&天日干し、水草は全部捨てる、底砂や装飾品も捨てる方が好ましいが最低でも熱湯消毒&天日でカラカラに殺菌」という処置をします。また、新しい飼育環境では風船病の発生防止に「万田酵素」をお守りとして吹いておくと、安心です♪

 

まとめ:飼育環境に気を配って、健康なイモリ飼育を楽しみましょう♪

今回の記事では、イモリの病気や死因について紹介してきました。

元気で健康なイモリの飼育を長く楽しむためにも、「予防や対策ができることはしっかりとコツを押さえる」ことで、未然に防ぐことができます。また、風船病の発生した飼育容器に(丸ごと洗浄した後、その他の個体の発症予防として)万田酵素を入れるのも個人的にはお勧めできます。

皆様も、ぜひイモリ飼育をする時には、少し気をつけてあげて下さい。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう♪