(イモリ養殖に欠かせない活き餌)ブラインシュリンプの使い方

イモリの幼生や熱帯魚の稚魚の飼育に欠かせない、活き餌「ブラインシュリンプ」について、今回の記事では紹介します。

↓の写真のように、イモリの幼生でもすんなり食べられる小さな生物です。(赤い〇の中の、小さな白い点々がブラインシュリンプです)

なお、グッピーなど向けに「殻無しブラインシュリンプ・エッグ」という商品もあります。こちらは、人工飼料のようにそのまま生体に餌として与えられますが、「塩水に入れても孵化しない」ので、活餌にする時には間違えて購入しないように気をつけて下さい。

 

ブラインシュリンプとは?

直訳ですが「ブライン=塩水」+「シュリンプ=エビ」。つまり塩水の中に生息する甲殻類という意味を持ち、水産業界では「アルテミア」とも呼ばれて、稚魚の生餌として活用されています。その姿形は淡水の「ホウネンエビ」に似ているなと私は感じます。

 

塩湖に棲む生き物ですから、海水の3倍~8倍といった高濃度の塩水の中で生きることができます。そのため、ブラインシュリンプを卵から孵化させる際にも、25~30~35%前後の塩水を使うことが多いです。

 

ブラインシュリンプは、主に「アメリカのソルトレイク、サンフランシスコ」「ロシア」「中国」などの塩湖がある場所から卵で(ブラインシュリンプ・エッグと呼ばれて)輸出されて日本にやってきます。産地によって、孵化しやすい塩分濃度が変わりますので、商品パッケージに書いてある塩分濃度に合わせて塩水を作ります。

 

ブラインシュリンプの湧かし方~使い方

ブラインシュリンプを卵から孵化させて、生き物の餌にするには――簡単に言うと「塩水を作って、水温20度程度にして、24時間放置する」という方法を使います。

「殻無しブラインシュリンプ・エッグ」ではない「普通のブラインシュリンプエッグ」は、そのままでは生き物が体内で消化しにくいため、必ず塩水で孵化させてから生体に与えて下さい。

 

用意するもの

・1L程度のプラケース

・食塩

・計量スプーン

・1Lのペットボトル

・水道水

 

ブラインシュリンプを湧かす流れ

①プラケースに、食塩を30g程度(大匙2杯)入れます。

大匙1杯が15~18gになります。大匙2杯で30~36gなので、少し少なめの大匙2杯になるよう調整します。(我が家のブラインシュリンプは35%と指定されています。ただ、以前使っていた25%のものでも塩分濃度35%で問題なく孵化していました笑)

 

②水道水を浅く入れて、食塩を溶かしながらペットボトルに入れます。

↓水に溶かしつつ食塩を入れると、ペットボトルに塩を飛び散らさずに入れることが出来ます。

 

③ペットボトルに水を満タンに入れて、30%程度の食塩水を作ります。

※完全に塩が溶けるように、よく振って下さい。

 

④プラケースに3㎝程度、食塩水を入れます。

水深が深すぎると孵化率が下がりますが、浅すぎるとブラインシュリンプを改修しづらい(卵の殻が混ざってしまう)ので、3㎝程度が一番良いようです。

 

⑤食塩水の上に、ブラインシュリンプエッグをうすく撒きます。

 

⑥水温20度以上になるようにして、24時間程度放置します。

秋~春先までは、「ヒーターの入っている水槽の上」等において水温が20度以上になるように管理します。5月~秋前までは、逆に水温が高くなりすぎるので、ブラインシュリンプの容器内の水が腐敗しないように気をつけてあげて下さい。

↑の写真のように、容器を2つ使うことで「時間差で毎日ブラインシュリンプが湧く」ようにすることができます。

 

⑦翌日、ブラインシュリンプが湧いてきます♪

水温20度程度では24時間、25度では12~18時間程で卵から孵ります。ブラインシュリンプは卵から孵化したら、徐々に体内の栄養素を自分の成長に使ってしまう(=栄養価が下がる)ため、なるべく早めに餌として与えて下さい。

 

⑧スポイトで生体だけ集めて、茶こしで漉します。

100均などで売っている大き目のスポイトと茶こしネットを使って、ブラインシュリンプの生体のみを集めます。殻は生体が食べると消化不良の原因になるので、なるべく殻は入れないようにします。

なお、↓のように「ブラインシュリンプは光に集まる習性がある」ため、水槽のライトなどの光に集まっている部分をスポイトで吸い取るようにして集めます。

集めたブラインシュリンプは、茶こしで漉すことで塩水だけを容器に戻し、ブラインシュリンプだけを集めることができます。

 

⑨飼育水で洗います。

 

茶こしで漉しただけでは塩水の塩分が残っています。飼育水をスポイトで吸い、茶こしの中で水を出して「ブラインシュリンプを真水で洗う」作業をします。

水道水で洗うとブラインシュリンプが塩素で死ぬので、親水槽の水で洗います。水量が多いので、定期的に水替えをしている水槽なら、この程度の塩分は気にしなくて大丈夫です。

 

⑩茶こしの中でスポイトで吸って、生体に与えます♪

茶こしの中で、水ごとスポイトで吸い出して、生体に与えます。生体がぱくりと喰いついてくれたら、毎日、どんどん餌として与えて下さい♪

 

余談:ブラインシュリンプは何日保管できる?

卵のままなら、「冷蔵庫で1年程度(実務的には3年までくらい??)ならずっと保管できる」のがブラインシュリンプのメリットです。使いたい時に、使いたい分量だけ湧かすことで、とても手軽に幼生や稚魚の活き餌を得ることができます。

(冷蔵庫で1年を過ぎると、孵化率が下がると言われていますが……実務的には3年程度までの冷蔵庫保管でしたら、あまり気にならないと感じています。但し、長期間の常温保存は厳禁です)

なお、卵から孵化させたブラインシュリンプは基本的に、「孵化した当日~翌日までに使い切る」のが基本です。孵化した直後から、(成長の為に栄養素を使うので)餌としての栄養価が下がっていくからです。

とはいえ、毎日ブラインシュリンプを沸かすのは面倒だったりもします。↓の期間を目安にしてみて下さい。

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①春~ゴールデンウィーク頃までなら水温もあまり高くないので「2~3日で使い切る」ようにしていても良いかと思います。

②6月~10月は、気温も水温も普通に30度を超えることが多いため「1~2日で使い切る」ようにします。水温が高いと、どうしてもブラインシュリンプを沸かす容器内の水が傷みやすいからです。

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まとめ:ブラインシュリンプをイモリの幼生や魚の稚魚に使おう!!

ブラインシュリンプは、生き物の稚魚や幼生の餌としてとても便利な活餌です。塩水を使うことでちょっと「ハードルが高い」というイメージを持っている方も少なくないかと思いますが、ブラインシュリンプを使えることで「イモリの繁殖」や「メダカの繁殖」や「熱帯魚の繁殖」にもチャレンジすることができますので、ぜひ活用してみて下さい。

 

私も、イモリの幼生飼育↓で実際に使っています♪

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