2022年12月に、徳留アクア工房代表(徳留賢治)が、鹿児島県の奄美大島へ「苔と植物の観察&アマミシリケンイモリ観察&お気に入りのイモリだけ採集する旅行」へ行ってきましたので、ホームページでも紹介してみたいと思います。
私の目標は、「200年後も趣味でアマミシリケンイモリを飼育できる世の中」なので、この記事が「鹿児島の魅力的な自然を知ってもらうきっかけ&アマミシリケンイモリの魅力を知るきっかけ」となってくれれば嬉しいです。また「鹿児島の自然保護&環境に配慮した観光の活性化」にも繋がれば良いなと、こっそりですが思っています!
なお、奄美の方から見たら、イモリの採集に来た私は「奄美の貴重な生物を採集する良くない人間」でしかありません。法律違反はしていませんが、現状では、お目こぼしをしてもらっているのが正直なところです。私を含めた1人1人の採集者(昆虫・植物・両生類などに限らず)がルールとマナーを守り、自然への畏怖と感謝を忘れずに行動したいです。
ちなみに、奄美で悪いことをすると「ハブに噛まれる」危険性が高まると私は考えています。法律もマナーも常識も守って、自然を大切にする気持ちで動植物と触れ合うことが大切だと思います。
=↓注意事項↓ 法律とマナーは守ります!!=
※この記事は、奄美大島での生き物採集を推奨する記事ではありません。アマミシリケンイモリの生息地を知り、より多くの方が「奄美のイモリの繁殖にチャレンジできる環境づくり」「鹿児島の自然を大切にする気持ち」を知って感じることを推奨するための記事です。
※徳留アクア工房(徳留賢治)は、法律とマナーを守って生き物採集をしています。自然保護区や天然記念物、種の保存法、鹿児島県や各市町村の条例など――違反をしないように事前調査と準備をしっかりして行動しています。特別保護区やその周辺では採集をしません。
※国立公園の保護区やその周辺では、「魚かご(罠)の使用」が違反になる場所があるため、奄美では罠を使用しません。また、動植物の採集が可能な場所でも乱獲はせず、必ず通常の個体を残すようにし、「鑑賞価値の高い個体(+それと同地域の血統を残すための通常個体の数ペア)」に限定して採集を行っております。
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奄美空港などでも↓のように、注意喚起のチラシ配布がされています。生き物採集をする一人ひとりが気をつけないと、近い将来に「規制が強くなって奄美全域での採集禁止」という悲しい未来になることが現実としてあり得ます。
はじめに(奄美での生き物採集は、ルールとマナーを守ることが大切)
重ね重ねになりますが、奄美での生き物採集や生き物観察には、ルールとマナーを守ることが大切です。
法律をしっかり守り、自然と他人に配慮し、安全に楽しく過ごすことを忘れてはいけません。一歩でも草むらや水辺に入ると、毒蛇のハブが「こんにちは♪」することも珍しくない土地です。ルールやマナーを守ることは、危険を遠ざけることにもつながります。
もし事件や事故が起きても、正しい行いをしているのであれば、「間一髪!」「ヒヤリで済んだ」「辛うじて助かった!」――ということにつながってくれるのではないか? と私は考えています。
法律関係と罰則について
上の注意事項でも触れましたが、世界自然遺産に登録され、希少な動植物も多い奄美地方は「生き物採集の規制が多い地域」になります。何も知らずに目についた生き物をむやみに採集をすると、法律違反で罰金刑や最悪で懲役刑もあり得ます。
例えば、↓の写真の「モダマ(藻玉)」という「大きな豆ができる木」は、初めて見ると好奇心をくすぐられて、大きな種や1メートルくらいのサヤを持って帰りたくなります。
私も、1メートル以上にもなりそうな、大きな豆のさやを至近距離で観察することができました。
実物を見ると、写真でイメージしていたよりも大きくて、思わず笑ってしまうほどに。↓の写真では……かなり、テンションあげあげ↑↑です(笑)
――が、モダマは生えている場所が限られているため、種子やサヤを勝手に持ち帰るのはもちろん、葉っぱや枝を傷つける(採集する)のもダメです。条例で天然記念物に指定されているのです。
ちなみに、モダマの他にも「格好良いクワガタ、格好良いイモリ、綺麗な魚、綺麗な植物など」の魅力的な動植物が奄美には生息しています。
そして、その中には――アマミマルバネクワガタやイボイモリ、アマミイシカワガエル、リュウキュウアユ、着生ランの仲間など――が含まれているかもしれません。正直、それらを捕獲したり傷つけたりすることは、かなり大変なことになりますので気をつけて下さい。
代表的な法律違反の罰則では――
(例:天然記念物:捕獲や傷つけるなど、違反すると5年以下の懲役又は30万円以下の罰金)
(例:種の保存法:捕獲や傷つけるなど、違反すると5年以下の懲役又は500万円以下の罰金)
(例:国立公園の特別保護地区内での違反:6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金)
――などがあります。
数年前ですが、奄美の生き物を乱獲して(天然記念物のアマミイシカワガエル、オットンガエル、アマミハナサキガエル、ムラサキオカヤドカリ&特定動物のトカラハブを含む)、飛行機で持ち出そうとして逮捕された人達がいます。また、200匹近いアマミシリケンイモリを飛行機で持ち出そうとして、止められた人もいます。(どちらも新聞沙汰になりました)
そのような事件や事案があったことで、輸送の規制も強化され――2023年現在、奄美の空港では「野生の動植物を荷物として引き受けてもらえない(犬や猫などの明らかなペットは除く)」ようになっています。
野生の動植物は、たとえ希少種でなくても(一般の方は)荷物として受け付けてもらえませんので、無計画な採集は絶対に行わないようにしてください。恐らく、ほとんどの場合は空港で没収され、動植物の行き場が無くなります。
また、宅配便での発送も「(一般の方は)かなり難しい」と思っていた方が良いです。奄美からの生き物の発送は輸送会社に嫌がられますし、到着までの温度管理や酸素の確保などにもそれなりのコツが必要になります。
(観光客が、地元の方からのお土産として「家に飛んできたクワガタ」を貰い、種類を知らずに持ち出そうとしてトラブルになることもあるようです。知らない生き物は「触らない&移動させない」ことが大切です)
水辺や草むらではハブに気を付けて!
奄美や沖縄では、毒蛇のハブが生息しています。水辺や草むらでは注意が必要です。
私が採集に行った林道でも、車にひかれているのを見ました。
なお、↓の写真は夜の林道で出会ったアカマタちゃんです。気性が荒くて、写真を撮ろうとしただけで、こちらに噛みつこうとしています……otz
ちなみに↓の写真は「奄美に行ったら絶対に寄った方が良いお土産屋さん」として私がお勧めする『原ハブ屋さん』で撮影したハブちゃん達です。
こんな立派な子達と林道で「こんにちは~♪」したら、ちょっと泣けます。
奄美でよく聞く話では、ハブちゃん達からは1.5メートル以上離れていないと「撃つように噛みついてくる」とのことです。林道わきの水たまりで遭遇したら……逃げられません(泣) ハブ対策としては、つばの広い帽子や長袖長靴で守るしかないので、出来ることならこの子達には出会いたくはないです。
アマミシリケンイモリの生息地めぐり(奄美大島をぐるりと廻ります!)
さて、前置きが長くなってしまいましたが、アマミシリケンイモリの生息地巡りを紹介してみたいと思います。ただし、インターネット上で生息地が分かって心無い方に乱獲されるのは嫌なので、場所が分からないようにして紹介します。
なお、アマミシリケンイモリは奄美大島全域に生息しており、ちょっとした水たまりや小川、山沿いの側溝などでも見ることができるようです。また私自身も、雨の日や雨上がりには、普通に陸地を歩いている様子も観察↓できました。
↓林道横の排水溝に、複数匹で潜んでいます。
こんな感じに、林道わきの「側溝が落ち葉で詰まってできた水たまり」にも、アマミシリケンイモリは棲息しています。右上に成体がいるのが拡大すると見えます。
ここで採れた子↓。この子は、今回の採集旅行で見つけた中でも1番の綺麗な男の子です。
アマミシリケンイモリは、雌には綺麗な柄が入る子がわりといるのですが、雄にはなかなか模様が入らないみたいです。今回、見つけられて本当にラッキーでした。
(↑奥にいる金色系の雌も、同じ場所で採集した子です。このまま血統を維持したいと思います)
なお、観察や採集の日は12月でしたが、幼生(イモリのオタマジャクシ)もたくさん見ることができました。あと、カエルのオタマジャクシ(ハナサキガエルかもしれない……よく分からないアカガエル系のオタマや、明らかに巨大なオットンガエルのオタマっぽい子など)もポイントによっては棲息していたので、間違えて掬ったりしないように要注意でした。
水中から、こっちを見ているアマミシリケンイモリ。
アマミシリケンイモリは、意外と「人影」や「殺気(捕まえようとする気配)」に敏感です。何度も網に入れようとして逃げられたか……綺麗な柄の子に限って、素早かったりします(泣)
林道わきには、意外と水が溜まっている場所が多いのですが……毒蛇のハブちゃんも当然いますので、むやみに覗かない方が良いです。
(――とは言いつつ、この↓ポイントは夜に多くのアマミシリケンイモリを見ることができました。小雨が降る中、夜21時過ぎに真っ暗な「林道わきの水たまり」を懐中電灯のみで覗き込むなんて……今考えると正気では無いテンションあげあげじゃないと出来ないですね♪)
夜の林道は、こんな感じ。雨が降っている&暗いので、ピンボケしていますが……ちょっと怖い場所だったりします(笑) この記事の上の方にある「夜のアカマタちゃん」はこの日に撮影できました。
なお、シリケンイモリちゃんは↓みたいに、ちょっと藻が浮かぶような場所でも、元気に棲息していました。それなりに水の入れ替えがある水辺なら「探したらいる」ので、探してみると楽しいですよ。
住宅に近い場所でも、側溝とかにイモリが群れていることがあります。↓は奄美空港へ帰る途中にある、私の鉄板ポイントの1つ。普通の黒色に混じって、偶に金色系のイモリがとれる場所でもあります。
ここで過去に捕まえた子。ちょっと痩せていますが、金色系の模様が綺麗にのっている雌です。
(この時は繁殖に力を入れていなかったので、この子は手放してしまったのですが……今思うともったいなかったです……otz)
(番外編)奄美の水族館にて展示されていた子達
番外編として、奄美の水族館で展示されていた子達も紹介します。とても綺麗な子ばかりで、餌は冷凍赤虫や人工飼料を食べている(飼育員さん談)とのことでした。
↓ピンボケ写真になっていて……悔しい……otz
いつか、奄美の大自然のなかでも「色彩変異のアマミシリケンイモリ」に出会えたら良いなと思っています♪ その時に向けて、まずは自分のところでもイモリ繁殖をがんばります♪
アマミシリケンイモリの販売(WEBショップで通販予定)
徳留アクア工房では、2023年2月頃から、国内外のイモリ類の販売(WEBショップでの通販)も予定しています。(WEBショップはこちら⇒「https://aoi-amagaeru.com(徳留アクア工房のWEBショップ)」より)
なお、国産イモリ販売のメインは「採集した天然イモリ」ではなく「自家繁殖させたアマミシリケンイモリ(CB個体)」や「自家繁殖の鹿児島県産のアカハライモリ(CB個体)」を予定しています。(場合によっては、数量限定で餌付け済みの採集個体も出すことがあるかも??)
親個体は↓など、採集地ごとや模様などでペアを組んで繁殖させています。
イメージとしては「奄美大島・西部産:アマミシリケンイモリ:2023年繁殖個体」や「奄美大島・東部産:アマミシリケンイモリ:2023年繁殖個体」などのように、「東・中央・西」などの区分をして販売したいと思います。(アカハライモリの場合は「鹿児島県〇〇町産:アカハライモリ」のように表記したいと考えています)
ここだけの話、あと1~2年以内に「加計呂麻島産」のアマミシリケンイモリも採集に行けたら良いなと考えています。マニアのこだわりでしかありませんが、加計呂麻島のイモリだけで血統を維持するのも、種の多様性維持には(天然物という意味だけでなく、趣味のイモリ飼育の魅力の維持という意味でも)重要だと思いますので。「徳之島のアマミシリケンイモリ」は、今は絶滅したかも?という情報が多々目に入りますし……残せるのであれば、たとえ人の手の中だったとしてもイモリの血統を残せたら……と考えています。
実際、昔は「徳之島」にもシリケンイモリがいたらしいのですが、今はどうなのでしょうか? 徳之島には、2023年でもイボイモリが生息しているのは(生息地が整備された情報や目撃情報で)知っているのですが、シリケンイモリの情報が入ってこないので……全滅してしまったとも聞きますし……。もしも「徳之島産のアマミシリケンイモリ」が手に入るのなら、徳之島産の血統だけで維持してみたいと私は考えています。情報が欲しいです!
(徳之島産や加計呂麻島産のイモリ類の情報がありましたら、お問合せページからご連絡頂けますと嬉しいです。違法な取引はできませんが、生息地の写真や生息環境の情報、生物の写真などが見れたら幸せです♪)
なおアマミシリケンイモリの販売は、基本的には亜成体(卵から生まれて1年程度経過して、水中管理が出来るようになってから)になった頃に、WEBショップでの販売を予定しています。ですが、全てのイモリの卵を親になるまで飼いきるのは難しいと思いますので、一部は卵や幼生、上陸後の子イモリなどの段階でも販売することが有るかと思います。
販売時期は、「2~4月が卵や幼生」「4~8月が子イモリ」「10月~が亜成体」になるかと思います。ただし、卵~上陸後の子イモリまで(亜成体よりも前)は飼育に癖があって、育てるのはかなり難しいです。子イモリは「基本的に活き餌しか食べない&偏食する子も少なくない」ため、時間とお金と心に覚悟を持ったうえでチャレンジ下さい。
いずれも数量限定ですので、気になる方はWEBショップを小まめにチェックしてみて下さいませ。
WEBショップはこちら⇒「https://aoi-amagaeru.com(徳留アクア工房のWEBショップ)」
アマミシリケンイモリの飼育方法:簡易版(成体と幼生と子イモリ)
アマミシリケンイモリの飼育方法について紹介します。詳しく説明すると、電子書籍が1冊できますので(実際に今、『アマミシリケンイモリの飼育と累代繁殖の方法(仮称)』という電子書籍を制作中です)、ここでは「成体の飼育方法」をメインに、手短に簡易版にて紹介したいと思います。
アマミシリケンイモリの成体の飼育方法
アマミシリケンイモリの生体の飼育方法をお伝えするにあたって、飼育下のアマミシリケンイモリの死因で多いものを紹介します。(徳留アクア工房の徳留の独断と偏見が基になったランキングですが、大抵のイモリ飼育で気をつけたい基本的なことでもあります)
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死因1位:脱走(水槽の外で乾燥死)
死因2位:餓死(複数飼育⇒ストレスで拒食&偏食⇒ガリガリになる)
死因3位:突然死(脂肪の取り過ぎや栄養の偏りによる内臓疾患?)
死因4位:水質汚染(餌の食べ残しの放置や水替え不足で病気に……)
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逆に、アマミシリケンイモリの成体の場合、死因になる要因さえ取り除いてあげれば、長生きさせたり繁殖させることは難しくありません。不幸な事故や死亡を防ぐためにも、飼育に必要な物や餌などについても紹介していきます。
↑過去に飼育していたアマミシリケンイモリの雌。画像がたまたま残っていたので、掲載します♪
飼育容器&機材
イモリの飼育には、「清潔な水+空気+それなりの明るさ」が必要です。水槽などの水を溜められる容器で、水草と一緒に飼育してあげると状態が良いです。フィルターを設置すれば、水替えの回数を減らせますので、イモリも落ち着いて(安定して餌を食べて)くれます。
・「30㎝~60㎝の水槽+ふた」もしくは「中型サイズ以上のプラケース」(脱走対策が重要)
・水を循環させるフィルター(投げ込み式やスポンジなどが最適♪)
・底砂(ソイル系など、誤飲しても体内で潰れる=排出されやすい底砂が安心)
・二酸化炭素の添加が不要で丈夫な水草(アナカリスやウイローモスなど)
重ね重ねになりますが、イモリは脱走に本当に注意が必要です。気が付けば、「こんな隙間から抜けるの!?」というような場所から脱走していることがありました。極論では、1.5㎝×1㎝の隙間があるとかなり危ないです。蓋の網目は5㎜×5㎜程度で、必ず「重石(もしくは養生テープで蓋を固定)」しましょう。
例えば↓の写真では、60㎝水槽に「爬虫類用の金網ネット」をのせて飼育しています。撮影時には右側に重石だけを置いていますが、実際には1.5㎏くらいある観葉植物の入った容器を追加して管理しています。(重石だけで不安な方は、養生テープを追加して下さい)
あるいは、見た目にこだわらないのであれば「プラケース」で飼育するのが一番安心です。毎回、「カチッ」と音がするまで蓋を締めていれば、脱走しようがないので。ただし、「蓋をし忘れてイモリに脱走される」ことが無いように、イモリから目を離す時には蓋がしまっているかの確認を必ずして下さいね。
なお、水槽内には「水草」「流木や溶岩石などのざらざらしたもの」を入れてあげると、イモリが落ち着くようです。
水草は隠れ家や呼吸の際の足場などになります。ざらざらした溶岩石や流木などは、脱皮をするときに体をこすり付ける土台(脱皮不全やそれによる手足の壊死を防げる)になります。
餌
餌は、基本的には「人工飼料のみ」で大丈夫です。人工飼料は栄養バランスも整っており、単食させても長生きや繁殖してくれます。
ただし、人工飼料を食べない子(偏食や拒食)も稀にいますので、その場合には餌に工夫が必要になってきます。例えば、人工飼料を食べなくても「赤虫だけは食べる子」「ハニーワームやコオロギなら食べる子」は多いです。
しかし、「赤虫もハニーワームもコオロギも食べない子」がしばしばいますので……その時には、「その子に合った餌」を与えるしかありません。下の一覧表は私の試したことがある餌ですが、全て用意するのはなかなか大変だったりします(笑)
(人工飼料&普段向きの餌)
・ウーパールーパーの餌
・イモリ専用の餌
・某メーカー(ヒ〇リ)さんの金魚餌(ポリフェノール配合で色揚げ効果アリ)
・冷凍赤虫
※基本的に単食でもローテーションさせてもOKです。
(活き餌)
・活き赤虫
・ハニーワーム
・くりむし
・コオロギの幼虫
・めだか
・小型エビ
・シルクワーム
・ミミズ
・ホソワラジムシ
・ナミワラジムシ
・イトミミズ
・ミルワーム
・小型巻貝
・活きブラインシュリンプ
※活餌は、人工飼料や専用のビタミン剤などを「ガッドローディング」させると栄養価がより高まります。
※ワーム系やコオロギは、イモリが齧られないように頭を潰して与えると安心です。
※巻貝は目の前で潰すと食いが良いです。
※ワーム系は脂肪やリンが多いものがあるので、突然死を防ぐためにも、単食は避けた方が良いです。偏食している子でも、ピンセット給餌にならして「冷凍赤虫」に切り替えてあげてください。
(その他の餌)
・魚の切り身
・鶏のレバーやハツ
・ディスカスハンバーグ
・いくら
・冷凍ブラインシュリンプ
・乾燥イトミミズ など
↓は餌用のナミワラジムシ。「湿度に強くて、水中でもそれなりに生きて動く」ため、アクアテラリウムで使用できる便利な活き餌です。
なお、活き餌に限らず「食べ残した餌」は水を汚しますので、必ず「食べきれる量だけ与える」ことが大切です。餌を食べ残さないよう、少しずつ与えて下さい。
飼育容器の置き場所
シリケンイモリは冬の低温には強いので、九州、四国、本州の太平洋側などでは、室内(水槽が凍らない場所)なら無加温(ヒーター無し)での飼育が可能です。逆に、夏の高水温には弱い面もありますので、室温が28~30度を超えるようになってきたら「エアコンの入っている部屋」や「風通しの良い場所」に移動してあげて下さい。
基本的に、我が家ではアマミシリケンイモリは無加温&無冷房で飼育しています。ですが、初夏~秋までの「部屋を不在にするとき(締め切って30度を超えそうなとき)」や「昼間に30度を超えそうな日」には、10時~16時頃までエアコンを入れるようにしています。(温度は28度に設定し、タイマーで日中だけにすれば、電気代も節約できます)
また、裏ワザとしては「風呂場に冷水をシャワーでまいておき、換気扇をつけて容器を置く」という方法もあります。気化熱と換気扇の通風で風呂場の温度が少し下がるため、イモリの負担を抑えてくれるようです。
(ちなみに、夏場に「凍らせたペットボトルを容器に入れる」……という方法は、私はお勧めしません。気温の乱高下が起こるので生体にダメージが蓄積されそうで怖いです)
その他の注意点(過密飼育は、かなり危険です!)
60㎝規格水槽の場合、6~10匹くらいまでなら複数飼育が可能です。また、中型のプラケースなら3~5匹程度までは複数飼育が可能です。
個体同士の相性もありますが、月に1回程度の水替えで、健康な状態で飼育することができる目安はこのくらいの数になります。とはいえ、この数を超えて複数飼育(過密飼育)をしたらどうなるのでしょうか? ――結果から言うと、「弱い個体が餌を食べられず、痩せてしまう(=死んでしまう)」ことに繋がります。
過密飼育だと喧嘩(餌を与えた時の取り合い、捕食の興奮でお互いの手足まで噛みついてしまうなど)が起こりやすく、弱い個体は餌が取れなくて痩せたり、神経質な個体はストレスで拒食(餌に食いつかなくなる)になって痩せたりします。
一度イモリが痩せると、それを元の健康体に戻すのはかなり手間と時間が掛かります。例えば↓の画像の「右上のイモリ」はあばら骨が浮いて痩せてきています。この時は早めに気付いて隔離したので、拒食まで行かず立て直すことができましたが、気が付くのが遅くなれば遅くなるほど、ガリガリになってかわいそうなことになります。
イモリ自体は、代謝が低くても生きていける生き物(健康な子は、冬場は餌が1週間に1~2回とかでも余裕だったりもする)なのですが、痩せすぎると餌を食べなくなる(=そのまま餓死する)ので、痩せさせないように予防する事が大切です。
痩せてきたなぁ……という個体がいる時には、その個体だけをプラケースなどの別容器に移してから「冷凍赤虫」や「ハニーワーム」を与えて、脂肪分を取らせると立て直しがしやすいです。この別容器には、イモリを安心させる(食い気を起こさせる)ために、隠れ家や水草を多めに入れてあげて下さい。
また、そもそもイモリに喧嘩させない(痩せさせない)ためにも、広めの水槽で「1匹あたりの底面積を確保」することが重要です。
もし一時的にでも、過密飼育をしないといけないのなら……私なら、プラケースを増やすか、水草を大量に入れて足場と障害物を増やします。水槽内でイモリの喧嘩(餌を食べる時の噛みつき合い)が多いと感じた時にも、水草などで対策をしてあげて下さい。
アマミシリケンイモリの繁殖の方法
※アマミシリケンイモリの繁殖の方法は――今後制作する「電子書籍」で紹介するので、今回はざっくりと省略します!
ですが、「健康的に親イモリを飼育していて、ペアが揃っていれば産卵させることは簡単」です。水草などに卵を産みますので、親が卵を餌と間違えて食べてしまわないよう、適宜取り出してあげて下さい。取り出した後は、卵だけ別の容器などで管理します。
アマミシリケンイモリの卵~幼生の飼育方法
※アマミシリケンイモリの卵~幼生の飼育方法は――今後制作する「電子書籍」で紹介するので、今回はざっくりと省略します!
古い情報ですが、私が過去に書いた↓の電子書籍『色彩変異のイモリを育てたい~』ってやつ(HPの右上からもAmazonキンドルの販売ページに移動できます)にも情報が載っています。
アマミシリケンイモリの幼生~子イモリ~亜成体になるまでの飼育方法
アマミシリケンイモリの幼生~子イモリ~亜成体になるまでの飼育方法は――今後制作する「電子書籍」で紹介するので、今回はざっくりと省略します!
こちらも、私が過去に書いた電子書籍『色彩変異のイモリを育てたい~』ってやつ(HPの右上からもAmazonキンドルの販売ページに移動できます)に情報が載っています。ただ、今となっては不十分な情報(足りていない)と私は感じていますので、今後制作する新しい書籍にて、より詳しく紹介していきたいと考えています。
まとめ(200年後も趣味でアマミシリケンイモリを飼育できる世の中に♪)
さて、ここまでかなり長い記事にお付き合い頂きまして、ありがとうございました。
生き物好きな徳留アクア工房の徳留ですが、特に「アカハライモリ」と「アマミシリケンイモリ」が大好きな人間です。どちらも、国内に一般的に生息していて(一部は規制がありますが)採集ができる生き物にも関わらず、生息地や掛け合わせによって「様々な模様や柄が出る」ことがあります。
また、色彩変異と呼ばれる変わった子達は、極上の美しさで人々を魅せてくれます。恐竜っぽいのも、かなり格好良いですよね♪
だからこそ、毎年のように動植物の飼育や採集に規制が入る現代を生きる「1人の生き物好き&水槽屋さん」として――10年後も20年後も、そして100年後や200年後も――「趣味でイモリ飼育ができる未来につなげる行動」が、私は大切だと考えています。
例えば、未来にタイムカプセルで旅行できるとして。100年後が「水族館と動物園と研究室でしか、小さな生き物を飼えない世界」だったとしたら。
そんなの――ワクワクしないじゃないですか。味気なくて、夢も希望も無いじゃないですか。
50年後だろうが、100年後だろうが、「一般家庭でも、頑張ったら“両生類”や”魚類”の飼育や繁殖にチャレンジできる環境があたり前」であり続けられる未来が残って欲しい!
――でも、それって正直なところ、地球の環境を維持するという側面では、かなりハードルが高かったりもします。
両生類や魚類の生息環境の水辺は、洪水対策の治水工事や生活を便利にする道路工事などで、あっさりと消えてしまうような環境です。
また「水辺だけ」を残せば両生類や魚類が子孫を残せるのかというと、そうではなく、「水辺の周囲の草原や雑木林、川の水源になる山林」なども、生き物には必要だったりします。
……正直、2023年を生きる「今の私達が動かないと、200年後に両生類の趣味飼育は無理じゃない?」と感じています。
課題はたくさん。出来ることも限られている。
――でも、だからこそ、「楽しい未来」を実現するためには、徳留アクア工房ができることは何かを考え、出来ることから始めて、世の中にも広げていけるように動くことが大切だと思っています。
――ということで。
徳留アクア工房は、日本の片隅の鹿児島市にある、まだまだ「小さな水槽屋さん」ですが。少しずつでも動きますので、これからを楽しみにしていてください♪
ちなみに今回の記事では、私の中にある「イモリ愛」のうち、10%くらいを解放して書いた記事になります。イモリへの愛を100%解放して――もっと説明にこだわったり、もっと詳細な飼育のコツや繁殖を成功させるポイントを書いたり――というのは、また後日。
現在制作中の、新しい電子書籍『アマミシリケンイモリの飼育と累代繁殖の方法(仮称)』にて紹介できたらと思います。
(電子書籍の発行は、2023年のアマミシリケンイモリの繁殖を終えた後に、作業内容をまとめてからしたいと思っていますので……2023年の年末頃になるでしょうか。楽しみにしていてください♪)
――それでは、最期に。
今回の記事にもお付き合い頂き、本当にありがとうございました。また次回の記事もお時間のある時にチェックしてみて下さいね♪
ガッツリ、生き物好きな「沼」記事であること、間違いなしです(笑)