※徳留の経験に基づいた記事なので、科学的には違うかもしれません。あくまでも飼育のご参考までにされてくださいませ※
「WILDのイモリは死にやすい」ーーとたまに耳にします。
徳留的な印象だと、WILDのイモリは繊細なところは確実に有りますが、アカハライモリやシリケンイモリに限れば、コツを押さえれば元気に死なせずに飼育できると考えています。
アカハライモリやシリケンイモリを山野で捕まえたら、次のポイントを踏まえて飼育してあげてもらえると嬉しいです♪

WILDが死にやすい理由①毒を持っているから
野生のイモリは食べ物由来の毒(フグと同じテトロドトキシン)を持っています。
この毒が厄介で、イモリ自体には基本的には無害なのですがーー「飼育容器などで複数飼育」、「水換えをサボって水質悪化する」、「気温が25度を超える」、「イモリが死ぬ」のいずれかの条件で、イモリから毒が一気に放出されて「突然死」や「拒食」をします。
特に複数匹飼育していると、「一匹死ぬ→毒を出す→連鎖的にポツポツイモリが死ぬ→それが毒を出す→1週間で全滅」ということもあり得るので、まずは不用意にイモリを死なせないように気をつけます。

特にWILDイモリを導入した直後は、毒を薄めるために「2〜3日に1回は水換えをする」ように私はしています。
また多頭飼育すると、お互いに(噛み合いやケンカなどで特に)毒を出すので、毒の濃度を飼育容器内で溜めないようにより小まめな水換えを意識すると管理が楽です。
コツとしては「死なせたくないイモリは大きな飼育容器で単独飼育する」のが、一番楽で水換えの手間も減らせると考えています。

なお、「毒絞り(ーーと私は呼んでいます)」をすると毒が薄まる印象です。
水道水などの流水の中で、イモリを優しくギュッギュッと数回揉むと、肉食動物に噛まれたと勘違いして毒を出します。イモリの体内の毒は食べ物由来なのでーー毒絞りをすることで、保有する毒の総量が減らせます。
なお「生息地によって毒の強弱がある」とも私は感じています。毒を持つバクテリアが多く住む場所なのか、危険な場所だからかなのかーー「渓流に棲むアカハライモリ」は「手に持っただけで、青臭い匂いを出す」ほど毒が強いです。
私が今までで一番強いと思ったのは「熊本県五木村の岩場にいたアカハライモリ」。イノシシやタヌキに捕食されやすいのか、渓流という過酷な環境で生き残るには毒も強くなるのか。
なお、このイモリはお腹の赤もホントに深紅で綺麗でした。なかなか見れない赤なので、見てみたい方は繁殖期の時期に熊本の山に入ってみて下さい。(ーーとはいえ、なかなか探して見つかるものではないです。偶然、川沿いの水たまりや林道の泉にいるのに出会えたらラッキーです♪)
WILDイモリが死にやすい理由②敏感な個体は蒸れると膨れる(風船病になる)から
徳留的な印象では、風船病には色々な原因があってーー結局は「皮膚か腎臓の水分調整能力の異常→イモリの身体が水を吸いすぎる→膨れる」ーーと感じています。
原因は「細菌感染や内臓疾患(水の汚れ。餌を残さず、水換えしてください)」「飼育温度が急激に25度超える&水槽の蒸れ(季節のかわり目は特に危険。5月のゴールデンウィーク頃に23度を急に超えると、膨れる個体が出ますので弱めの冷房や扇風機で管理してあげます)」です。
自然下でも、↓のように海風と湿気で涼しい山に棲みます。

なので事前にしっかり予防してあげれば、風船病は防げます。(水温管理は数が少なければ水槽用クーラー、他にも生き物や人間がいる場所はエアコン管理が楽です)
特にアマミシリケンイモリは「陸生傾向が強い=悪い環境からは逃げられる=野生なら大丈夫。でも、飼育下では悪環境から逃げられずに病気になる」という印象が強いです。
暖かくなってくる頃、ゴールデンウィーク明けは特に注意してあげてください。また風船病の治療については、過去記事も参考にしてみてくださいませ。

WILDイモリが死にやすい理由③飼育温度25度を超えると、不調になりやすい
アカハライモリやアマミシリケンイモリは、飼育温度25度を超えると不調になりやすいです。
(実際は夏場に30度を超えても大丈夫な個体も多いのですが、10〜15%くらいが拒食や風船病、餌を食べてもガリガリに痩せるなどの症状を発症します)

対策としては「エアコン管理(25度運転でも良いので24時間かけてあげる)」、「飼育容器を人間の居る場所に置いてあげる(昼間だけでもエアコンの入る場所にして、最高温度が30度を超えないようにする)」、「扇風機の風を当てて気化熱で相対温度を下げてあげる(風は水面に当てて下さい。ガラス面に当てるだけでは水温は下がりにくいですので)」ーーなどで対処します。
もし、最高温度を下げられない場合は「アクアテラリウム+扇風機」で飼育してあげるのも1つの方法です。陸地と水辺から自然と水分が蒸発して、気化熱で温度が下がってくれます。

WILDイモリが死にやすい理由④餌を食べないことがある〜その1:ケンカや体調不良による拒食〜
WILDイモリが餌を食べないのは、「体調不良の拒食」と「餌を餌と認識していない」のパターンが有ります。
体調不良の拒食は、「多頭飼育のケンカ」「飼育温度が高すぎる」「水質の悪化」「毒による自家中毒」などが原因です。ストレスを感じないように対策をすることで、拒食を治療出来ます。

特に「水温が高い」のは拒食になりやすいので、拒食になったときは一時的にでも飼育温度を22度くらいに下げてあげると有効です。外国産のイモリもですが、拒食していた個体が秋ー冬になって気温が下がったら餌を食べ始めるというパターンも有ります。
なお、余談ですが「水中飼育でどうしても餌を食べないときは、陸上飼育に切り替えると食べる(逆もアリ)」という方法も有効です。
陸上飼育で生き餌を与えることで、野生の本能を刺激して餌食いを改善します。

WILDイモリが死にやすい理由⑤餌食い〜その2:餌を餌として認識しない〜
野生のアカハライモリやシリケンイモリでも、採集した翌日に人工飼料を食べてくれる個体も多いです。大体60〜70%は「ウーパールーパーの餌」や「イモリの餌」を食べてくれます。
また、人工飼料を食べなくても残りの25%は「冷凍赤虫」を食べてくれます。メーカーとか製品による差はほとんど感じないので、ホームセンターなど手に入りやすい冷凍赤虫を与えてください。

そしてーー残りの5%が問題です(笑)どうしても、何をしても、餌を食べない。ーーそんな時は「陸上飼育に切り替える+生き餌を与える」ことで3ヶ月だけ乗り切りましょう!
水中では餌に見向きもしなかった個体は、陸上ではコオロギやワラジムシを追いかけて食べることが多いです。手間もお金も掛かりますが(笑)
そして3ヶ月以上、生き餌を与えて水槽に慣らし(体力もつけてあげるようにし)たら、季節のかわり目に水中飼育に切り替えてあげると「すんなり餌を食う」印象です。

また「陸上飼育に切り替えても餌を食べない場合=体調か環境のどちらか、もしくは両方悪い」と考えたほうがいいです。
飼育環境を再度見直しましょう。
(極論、飼育温度を20〜22度以下に下げて&30センチ水槽以上で単独飼育してあげて&隠れ家になるウィローモスを入れてあげるーーだけでも拒食が無くなることも多いです。集団飼育の「噛み合い→餌をとれずに痩せる」が拒食の一番の引き金だと私は感じていますので、そこを改善すると良い意味で大分違います)
WILDイモリが死にやすい理由⑥寄生虫がいるーーは、実はあまり関係ない?
基本的には「寄生虫は居る」ことを前提に考えていた方が良いです。そして元気な個体は寄生虫が居ても、痩せたり病気になったりはしません(共存していますし、共存できていない個体は早々に死ぬか見た目が悪いので市場に流通することはほぼ有りません)。
ただ、水質悪化や夏場の高水温で「体力が落ちた時」に寄生虫は悪さをするかなと、私的には感じます。(餌を食べているのに痩せてしまうーーー体型が戻らないーーは特に寄生虫を疑います)

とはいえ、薬品で駆除することは現実的ではないので……「普段は目視確認でオッケー」で「イモリの体調を崩さない予防」の方に注力したら良いかなと思います。
また、どうしても気になる時は「ブリード個体を選ぶ」のも選択肢に入ってきます。
とはいえ、コレも「飼育水や水草が混じると、ブリード個体にも感染する恐れ(網や水草に付いてくる)」がありますし、どこまで徹底するかで感染の有無は変わってくると思います。
(例えば、私のところでは国内イモリと外国産のイモリでは水と機材や水草などの共有はしません。「外国産の生き物は未知の病原菌の塊」「WILDの生き物も病原菌と寄生虫の塊」なので、それぞれが重ならないように、なるべくですが可能な範囲で意識しています)

CBイモリ余談:飼育下繁殖イモリの背骨異常について(くの字に折れる)
WILDのイモリには少ない(私は見たことない&発症しない)のですが、ブリードのイモリには背骨異常が見られることが有ります。背骨が上下でくの字に曲がったり、左右でくの字に曲がったりするのです。
原因は確定では有りませんがーー「幼少期のイトミミズの与え過ぎ(重金属やヘドロの悪影響?)」「成長期のエサ不足(空腹にさせすぎるとミネラルが不足する?)」「近親交配による遺伝子の乱れ(血が濃くなって本来なら出ないはずの弱い表現が出る)」「自然下では生き残れない小さな個体を無理矢理育てる(自然下では大きな幼生のエサになっているであろう「なかなか育たない小さな幼生」が養殖下では育てられてしまう)」などが思い当たります。

なので私のところでは、イトミミズは与えていません(というか、そもそも鹿児島ではイトミミズ売っているショップが無いのも理由ですが…)し、餌やりの間隔も調整しています。
また、「育たない幼生を無理して全部育てる」ことも(ちょこっと残酷&かわいそうにも思えますが)しないようにしています。
サテライトなどの隔離ケースに卵を取って→幼生をブラインシュリンプで育てて→大きな個体から順番に個別飼育に切り替えて→最後の方に残ったなかなか育たない小型の幼生は「自然に任せるまま、共食いさせる」のです。
すると「共食いした個体は栄養を取れて、なかなか育たなかったのに、その後からは立派に成長するようになる」という効果も期待できます。
正直、かわいそうにも見えますが、「無責任に数だけ増やす」「育てられない数にする」のはいけないなと思って「ラインを引く」ようにしています。
とはいえ、私なりの生命との向き合い方ですので、ご参考までに。

まとめ:WILDイモリも飼育のポイントをおさえて、元気に育ててあげて下さい♪
今回の記事では「WILDイモリを死なせないコツ」をまとめてみました。
ワイルドのイモリは死にやすいーーっていうのは対策すれば改善できるので、ぜひ試してみてください。
特に水温とテトロドトキシンの自家中毒症に気を付けてあげれば、アカハライモリやアマミシリケンイモリに限ればWILDイモリもほぼ死にません。
比較的イモリは簡単に飼育できますし、逆に簡単に飼育できない時は「改善するポイントが残っている状態」だと考えていくと、色々と対策が見えてきます。
ぜひ、イモリを飼育してみたくなった方は「近所の水場に観察に行く→自然環境を知って参考にする→少しだけイモリを捕まえる(終生飼育を前提に、ショップで買うのも有りだと私は思います)」という流れでイモリ飼育をしてみてください。
水槽のなかのイモリも、なかなか可愛いものですから。


