水槽のコケ対策〜コケ取り生物と小さな工夫の積み重ねと日々の管理が大切です〜

水槽のメンテナンスのお仕事をしていると、お客様の水槽で「コケが突然生えること」があります。先月まで綺麗に維持出来ていたのに、突然コケが生え始める……。

熱帯魚や水草の水槽は、バランスで成り立っているので「日々の管理」と「コケ取り生物」と「小さな工夫の積み重ね」が大切だったりします。

コケ取り生物のおすすめ(徳留アクア工房の独断ですが)

徳留アクア工房の独断と偏見による、おすすめのコケ取り生物を、少し紹介します。

それぞれ、上手に使うと水槽のコケ取りやメンテナンスを楽にしてくれます。

★ヤマトヌマエビ:アオミドロや房状のコケ対策に効果的。でも、植えたばかりの水草を抜く事や水草の新芽をかじる事があるので、入れ過ぎに要注意。

繁殖には汽水環境が必須のため、水槽内では増えない。

★ミナミヌマエビ(またはレッドチェリーシュリンプ):ヤマトヌマエビの下位互換的な存在。

でも、淡水の水槽内で繁殖して増えてくれるので、数で対処ができることも多い存在。血が濃くなりすぎると小型化するので、たまに新しい血を入れてあげると良い感じ。

(自然の河川にいる、ヌカエビも似たような印象。なおスジエビやテナガエビは肉食なので、水槽に入れると危険です)

★ラムズホーン:1〜2センチ前後の小さな巻貝。水槽内で増えるが、サカマキガイのように爆発的に増えて自滅するようなことが無いので、使いやすい。

水槽の壁面や水草のコケなど、水槽全般のコケを食べてくれる。

★イシマキガイ(それに類する汽水貝):2センチ前後の巻貝。ラムズホーンの上位互換っぽい感じですが、体が重たいので水槽の壁面や流木などの「広い面」に活躍してくれる。水草などの細い部分は苦手。

元々、汽水に住む貝のため淡水水槽では増えてくれない。たまに、ひっくり返って(戻れなくて)死ぬことがある、ちょっとかわいそうな子だったりする。

★ブッシープレコ(ミニブッシープレコ):水槽の壁面や流木などの広い面のコケ取りに欠かせない先端。

プレコというと水草を食べるイメージですが、ブッシープレコは「目に見えるような悪さはしない(ヤマトヌマエビよりも被害は無い)」ため、かなりおすすめ。

ブッシープレコは体長15センチ位と、比較的大型化するが、そうなるまで4〜5年以上はかかる(徳留の体感的には、普通の水槽では5センチくらいで止まることも多い)ので、大きくなりすぎて困ることは少ない印象。

むしろ、徳留アクア工房としては「プレコ大好き」なので、大きなブッシープレコは繁殖用に使いたいという気持ちもあります(笑)

★アルジイーター:ブッシープレコの下位互換。水槽の壁面を綺麗にしてくれるが……人工飼料を食べることのほうが多い印象。黄色い体色の個体も流通している。

★モーリー:口でついばむようにコケを食べる&油膜除去に効果を発揮してくれる魚。見た目的には「大きめのプラティ」みたいな熱帯魚。

ただ、存在感が強いのでヤマトヌマエビの方が使いやすい。どうしても使いたい時には、全身真っ黒のブラックモーリーが目立たなくておすすめ。

番外編:水草を齧るなどのデメリットもあるけれど、条件次第では「使える」コケ取り生物

ここで、ちょっと番外編として「水草を齧るヤツ」「夏に死ぬヤツ」など、デメリットアリだけれど条件次第で使えるコケ取り生物も紹介します。

水草を齧るとはいえ、流木水槽やベアタンクなどでは活躍してくれるーーなど、使い方次第で活かせることも多い生き物なので、知識として頭に入れておくと重宝することもあります。

★中型プレコ&大型プレコ:セルフィンプレコやサッカープレコなど、思いっきり水草を齧るプレコも「ベアタンク」なら、水槽の壁面のコケ除去に効果的です。

同居する魚を齧るーーとも言われますが「流木を入れる(落ち着く隠れ家を入れる)」ことで、事故を防げます。徳留アクア工房では、引取りさせてもらった大型プレコは、ニシキゴイの水槽や金魚の水槽のコケ取りにも使用しています。

★アップルスネール(ジャンボタニシ):こちらも、ベアタンクの壁面のコケ取りに使えます。特に「小型の貝は食べてしまう生き物(大きな金魚など)」の水槽で重宝しますーーが、プレコの下位互換でもあります。

プレコに代わるメリットとしては「比較的、低水温にも強い」のですが……真冬は冬眠するので、結局はプレコを使うことが私は多いです。

(なお、養殖のアップルスネールは安全ですが、野生のアップルスネールには寄生虫が居るので水槽には入れないほうがいいです)

★ビーシュリンプ(類似の淡水エビ):見た目は可愛くて綺麗で水草との相性も良いのですが、高水温に弱いので「真夏になると死ぬ」エビだったりします。

コケ取り能力はミナミヌマエビの下位互換という、ちょっと微妙だったりしますがーー何よりも「ビーシュリンプだけで飼育すると、可愛い水槽が作れる」のは大きなメリット。

夏場に死なせないためには、エアコンなどで気温と水温を下げてあげるのが効果的。

★タニシ(カワニナ):イシマキガイと同じように使える野生にもいる巻貝。ただ「水槽内で増える」「比較的、大きくなる」ため、水槽の見た目が悪くなることもある。

カワニナは低水温に強い印象だが、池や水温の上がる場所にいれると死んでしまう事が多い。(タニシのほうが、高水温には強い印象。真冬はタニシは冬眠してしまうが……)

日本産淡水魚の水槽には、かなり合う巻貝。

まとめ:水槽のコケは「コケ取り生物」も上手に使って、対策をしてください

ここまで、水槽のコケ取り生物を紹介してきました。

定番のコケ対策となる生き物から、番外編のかなりクセのある生き物まで。上手に組み合わせる事で、色々な水槽をキレイに維持するとことに繋げられます。

また、人の手で水換えをしたり、コケを除去したりすることも大切だったりします。

私も、スポンジ、スクレーパー、メラミンスポンジ、使わないカード、歯ブラシなどを使い分けて水槽のコケ取りをしています。

水槽は閉鎖空間とも言えますので、本当に「水と光と生体のバランス」で成り立っています。

上手にコケ対策を取り入れて、綺麗で元気な熱帯魚と水草の水槽を維持されてくださいね。