カブトムシの幼虫を『大きな成虫』に育てよう

徳留は「カブトムシの幼虫」を物産館に出荷しています。

「え? カブトムシ? 夏になったら飛んでくるじゃん?」と感じている方は、私としてはとても羨ましい環境にお住いの方です。最近では、鹿児島でも雑木林が宅地に開発されてしまって……年々、カブトムシが採れるポイントが失われていますので。

さて、そんなカブトムシですが、夏にホームセンターで購入したら『かなり良いお値段』がします。
私も、物産館に出荷するために敵情視――もとい市場調査にホームセンターへ良く行くのですが……かなり強気な値段設定でした。(ここだけの話、オスが1匹で1000円というところもありました)

そんなカブトムシですが、幼虫から育てるのも楽しいです。今回は、幼虫の飼育方法について紹介したいと思います。

カブトムシの幼虫の育て方

徳留が出荷している『せきよしの物産館』では、上の写真のような状態でカブトムシの幼虫を販売しています。値段は(ここで書きたいのですが、シーズンで変動しますので)物産館でご確認ください。

さて、カブトムシの幼虫の飼育方法ですが……上の飼育セットなら簡単です。
①室内の冷暗所(エアコンの風が当たらない場所)に置く。
②飼育用土の表面が乾いてきたら、霧吹きで用土を湿らせる。
③3月~4月になったら「さなぎ」になるので、飼育容器をなるべく揺らさない。

――以上を守るだけで、カブトムシを無事に成虫にすることが出来ます。
そうとはいえ、「カブトムシの幼虫を自分で育てる方法」のポイントを、もっと知りたいと思いませんか? この後、具体的な飼育方法を紹介していきます。

カブトムシの幼虫の飼育用土

カブトムシの幼虫の飼育用土は、『カブトムシの幼虫専用の腐葉土』を使用するのが一番簡単です。様々な種類が販売されていますが、最近ではパッケージの裏に「国産カブトムシ(幼虫):〇」とか「国産カブトムシの幼虫向け」などと書かれている製品がほとんどですので、お好みの製品を選んでみて下さい。(なお、針葉樹のチップなど「国産カブトムシ(幼虫):×」と書かれている製品もありますので、そこだけは注意してください)

なお、カブトムシの幼虫向けの腐葉土には、10リットル360円くらいの製品から、10リットル1000円オーバーの製品まであります。これは腐葉土に含まれる栄養価の違いが大きいのですが……初めての方は10リットル400~600円の製品(国産カブトムシの幼虫向け)を選ばれると失敗が少ないと思います。
また、オオクワガタを飼育されている方は「菌糸ビン」で飼育されることも多いと思います。クワガタの幼虫が食べた後の菌糸ビンの残りもカブトムシの幼虫には良い効果(大きく育つ)があると個人的には感じますので、お持ちの方は市販の腐葉土にブレンドするのもおすすめです。

なお、『園芸用の腐葉土』や『山で採ってきた腐葉土』をカブトムシの幼虫に使用するのは、私はお勧めしていません。
これらはコストパフォーマンスが一見高くみえるのですが、園芸用の肥料や農薬が含まれていたり、微生物やミミズなどのカブトムシの幼虫に悪さをする生き物が含まれていることが少なくないからです。

カブトムシの幼虫の飼育容器

カブトムシの幼虫の飼育容器ですが、一般的には『プラケース』が使われることが多いと思います。
しかし、飼育頭数が増えるとプラケースでは過密飼育になってしまいがちで、大きな成虫に育てるのが難しくなります。『衣装ケース』などを使って、幼虫はのびのびと育ててあげましょう。

目安としては『1匹あたり1.5~2Lの腐葉土』が、幼虫の時期には必要だと私は思っています。そこから考えると、15L以下のプラケースでは多くても5~8匹くらい、衣装ケースなどの大型の飼育容器では10匹以上の飼育も可能だと計算できます。

ちなみに、飼育容器に腐葉土を満載にしていると……初夏~夏に成虫になったカブトムシが『脱走』することもありますので、ご注意ください。脱走させないコツは『15センチくらい上部に空間を作ること』です。

その他、カブトムシの幼虫を飼育していると「フン(1~1.5cmほど)」が土の中に出てきます。フンが増えてきたら、腐葉土を取り換えてあげて下さい。(下の画像を参照)
なお、少し手間がかかりますが「ふるい」を使ってフンと腐葉土を分けてあげれば、もともとの腐葉土も幼虫の飼育に使うことが出来ます。腐葉土の費用を抑えたいときには、参考にしてみて下さい。

こちらも余談ですが、カブトムシの幼虫のフンは、植物の良い肥料になります。悪い匂いもしませんので、プランターなどに使ってみて下さい。

カブトムシの幼虫の病気と予防①

カブトムシの幼虫は、基本的にはあまり病気に感染することはありません。しかし、「病気になってしまったら治療はできない」というのが現状です。
そのため、カブトムシの飼育では『病気にならないように予防すること』が大切です。特に、次のような環境では病気になって死ぬこともありますので、注意してあげて下さい。

①ミミズやムカデなどの、カブトムシの幼虫を齧る生き物が用土に棲んでいる。
②用土がべちゃべちゃなくらい濡れている。あるいは、乾燥してカラカラになっている。
③飼育容器に直射日光が当たって、容器内が32度以上になって蒸れている。
④腐葉土から有毒なガスが発生している(鶏糞や牛糞入りのものや、発酵マットと呼ばれる用土に多い)
⑤長時間、人間が素手で触ったり、つまんだりして幼虫が弱ってしまう。
⑥飼育容器内をスコップで掘るなどして、幼虫に傷をつけてしまった。

基本的には、①~⑥の条件にならないように飼育してあげれば、カブトムシの幼虫は元気に成虫になってくれます。
しかし、特に⑥「幼虫に傷をつけてしまった」場合には、回復することは無いと思います。幼虫に傷をつけると、そこからバクテリアなどが侵入して幼虫は死んでしまいます。飼育容器内を観察する時には、注意してあげて下さい。

また、②の「腐葉土の乾き具合」ですが、カブトムシの幼虫は乾燥に弱いです。時々、腐葉土が乾いていないかチェックして、霧吹きなどで水分を補給してあげて下さい。

カブトムシの幼虫の病気と予防②

カブトムシの幼虫の病気……というまでは無いのですが、「脱皮不全」というものが甲虫の仲間では発生することがあります。
これは「さなぎから脱皮する時に、何らかの影響で正常に脱皮が出来なかった」ために起こるのですが、脱皮不全を起こすと「背中の羽が正常に閉じていない」「角や大あごが歪んでいる」など見た目が悪くなってしまいます。

脱皮不全を防ぐ方法としては、次のようなことに気をつけてあげて下さい。
①3~7月のさなぎの季節には、飼育容器をなるべく揺らさない。
②3~7月のさなぎの季節には、幼虫を触らない。土から出さない。
③飼育容器の腐葉土を、べちゃべちゃに濡らさない。
④(オオクワガタなど)大型すぎる親を飼育に使用しない。 ※大型すぎて脱皮不全を高い割合で起こす系統もあります。

基本的には、「予防する」しかないのが現状ですが、飼育者のちょっとした配慮で回避できるので、気をつけてあげて下さい。
あと、何らかのトラブルで『さなぎの状態で土から出してしまった時』には、『人口蛹室』というものを作ってあげると、死なせずに脱皮させることも可能です。人口蛹室については、紙コップとティッシュなどで作ることもできますし、市販品もありますので探してみて下さい。

また、余談ですが「幼虫やさなぎを手で触ったり、飼育容器を揺らしたりし過ぎると、成虫になる時のサイズが小さくなる」と言われています。飼育容器はなるべく動かさないであげて下さい。

まとめ

ここまで、国産カブトムシの幼虫の飼育について紹介してきました。
ざくっとまとめるならば、『大きめの飼育容器で、市販の幼虫用の腐葉土を使用して、土を乾燥させずに飼育する』ことで元気なカブトムシの成虫に育てることが可能です。

ちなみにカブトムシは、成虫になったら大きくなることはありません。幼虫の時に『いかにたくさん栄養をとって成長したか?』でサイズが決まります。せきよしの物産館で販売しているカブトムシの幼虫は、徳留が丁寧に育てたカブトムシです。

ぜひ、大きな成虫にしてみて下さい♪