「水合わせ」の方法&飼育のコツ(変わりメダカやアカヒレなどの水棲生物向け)

水棲生物の「水合わせ」の方法&飼育のコツ

鹿児島市にある「せきよしの物産館」でみゆきメダカや楊貴妃メダカ、ダルマメダカなどの変わりメダカを販売している徳留です。

今回は、変わりメダカやアカヒレなどを上手に飼育する方法を紹介していきます。特に「水合わせ」と呼ばれる「新しい飼育水に生物をなじませる準備」は、生き物を長生きさせるためにかなり重要ですので、水棲生物の飼育を始める時には注意してあげて下さい。

――それでは、新しく購入してきた水棲生物を、水槽に入れて飼育する流れを見て行きたいと思います。

①飼育には、適切なサイズの容器を選びます

水棲生物を飼うには水とそれを入れる飼育容器が必要です。

飼育容器の容量は、「2㎝の生き物1匹に対して、水が1リットル入る」を参考に選んであげて下さい。

なお管理に慣れたらもっと少ない水量でも飼育することができますが、最初は安全マージンを多く取ってみると安心です。

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例)
変わりメダカ1匹⇒2L(小さな容器やプラケース)
変わりメダカ5匹⇒10L(中型のプラケースや水槽など)
変わりメダカ10匹⇒15L(水槽や発泡スチロール箱など)
変わりメダカ20匹⇒25L(水槽や発泡スチロール箱など)

アカヒレ1匹⇒500ml(小型の容器やプラケース)
アカヒレ5匹⇒2~3L(小型の容器やプラケース)
アカヒレ10匹⇒5~8L(中型のプラケースや水槽など)
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なお、酸素の消費量がメダカよりも少ないゴールデンアカヒレや巻貝のレッドラムズホーンは、少ない水量でも飼育することが出来ます。

ボトルアクアリウムなど、水量が限られる場合には、変わりメダカよりもゴールデンアカヒレをおすすめします。

また、エアポンプで適度に空気を送ったり、水草を植えてあげたりするのも魚にとっては嬉しいことです。上手に利用してみて下さい。

低価格のエアポンプは音がうるさいことが多いです。Amazonなどで販売されている「ノンノイズ・シリーズ」は、比較的音が静かなので、個人的にかなりおすすめです!試してみて下さい。

②新しい水は、カルキ(塩素)を抜きます

水道水には、消毒用のカルキ(塩素)が入っています。これは魚のエラに有害ですので、必ずカルキを処理してから水を使用するようにしましょう。

100均やペットショップなどで購入できるカルキ抜き(固形or液体)を使うことで、カルキはすぐに処理できます。

その他、「水を1日くみ置きする」ことでも、カルキを安全に抜くことができます。時間がある方は、バケツなどを利用して、水をくんでおくと良いかもしれません。

③水合わせ(水温・PH)をします

水道水は気温よりも温度が低いです。カルキを抜いた状態でも、そのまま魚を入れてしまうとショックで死んだり、病気になったりすることがあります。

また、水道水と魚を飼育していた水とではPH(水の硬度)も違いますので、「水合わせ」という方法で、新しい水に生き物を慣らしてあげる必要があります。

具体的には次のような方法になります。

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①飼育水の入ったバケツにペットボトルを浮かべて、10分以上放置します。(水温を合わせます)

②ペットボトルの水を1/4だけ捨てて、バケツの飼育水を同じ量入れます。このことで、PH等の水質を合わせていきます。時間をかけてゆっくりするのが一番のコツです。

③10分ごとに、同じことを計4回繰返します。(10分×4回=40分)

④最後にペットボトルの上部をカッター等で切って生物や水草を取り出します。怪我をしないように気を付けて下さい。

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ポイントは、「時間をかけて水に慣らしてあげること」です。

なるべく、少しずつ、ゆっくりと、水に慣らしてあげて下さい。この水合わせをすることで、全く水合わせをしていない状態に比べると生存率が50%~80%以上も変わってきます。

本当に大切なことですので、丁寧に作業してあげましょう。

④餌をあげる方法(初めてのセット後は、6時間は空ける)

水槽をセットしたら最低でも6時間以上(可能ならば、一晩)は時間をあけてから、生物に餌をあげましょう。

なお、餌の与えすぎは、水が汚れて生物が死んでしまう原因になります。

10~15分経っても食べ残している餌は、スポイトなどで取り除いて下さい。……とはいえ、毎回掃除をするのは大変です。

最初のうちは「少し餌が足りないかな?」くらいの量で、魚が痩せない程度に餌をあげましょう。

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(目安)
メダカやアカヒレの頭の半分~1/3程度の量。飼育数や個体の痩せ具合によって増減させます。
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個体が煮干しのように痩せている場合は明らかに餌が足りていません。

そのような場合には、朝と夕方の2回、もしくは朝と昼と夕方の3回に分けて、少量ずつ餌を与えてあげて下さい。

なお、一度に大量の餌をあげるのはNGです。食べきらないので水が汚れて死んでしまいます。

※余談ですが、最低気温が15度を下回ると、魚は餌を食べても消化不良になってしまうことがあります。そのような時には、完全に冬眠させて餌を与えないか、与えてもごく少量だけを昼間に与える程度にしましょう。

個人的には、メダカやアカヒレには「オトヒメB2」などのプロ用の餌がおすすめです。費用対効果も栄養価も抜群ですから。

⑤水替えのコツ

水替えは、1~2週間に1回「総水量の1/4~1/3だけ」&「カルキを抜いた新しい水」に入れ替えます。

水温やPH差があると、ショックで病気になるので、一度にたくさんの水を換えたり、水槽を丸洗いするのは厳禁です。底砂を入れている時も、取り出して洗うのではなく、水槽専用のおそうじホースでキレイにしてあげましょう。(最近では、100均のペットコーナーにも売っています)

なお、容器の底にゴミやフンが溜まっていた時には、100均で売っている大きめのスポイトやホースなどで取り除いてあげると効果的です。

⑥水槽の置き場所について

◆明るい室内(ボトルアクアリウムや小型水槽)
水草や生き物は、明るい室内ならば元気に育てることができます。ただし、直射日光が当たる窓辺などは絶対に避けて下さい。太陽光で水温が上昇し、煮えてしまいますので。

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◆屋外やベランダ(ビオトープ)
春~秋は、スイレン鉢などに入れて屋外で育てるのも風情があっておすすめです。猫やトンボのヤゴに注意が必要なので、水深のある大きめの容器で飼育してあげることを推奨します。

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◆照明付きの水槽(水槽)
初期投資が少しかかってしまいますが、横から見られる水槽で飼育するのも楽しい方法です。明るい室内なら照明は原則不要ですが、水草用のLEDライトを設置すると魚も水草もグングン元気に育ってくれます。

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まとめ・水棲生物の「水合わせ」の方法&飼育のコツ

ここまで、水棲生物の水合わせの方法と飼育のコツを簡単に紹介してきました。

重要なのは「飼育水の変化をなるべくなくすこと(⇒水合わせを丁寧にすること)」です。

そこにだけ注意すれば、後々の生存率や育てやすさが大きく変わってきます。

ぜひ、せきよしの物産館で生物を購入した時には「水合わせ」に注意して、水の生き物の飼育を開始してあげて下さいね♪