ベタ・プラカット(熱帯魚)の飼育と繁殖&混泳にチャレンジしてみよう!

最近、比較的暖かくなってきました。おかげで低温に比較的強いベタ(熱帯魚の仲間)は、室内では無加温でも繁殖してくれるようになりました。

今回は、我が家で繁殖してくれたベタ・プラカットについて紹介したいと思います。

ベタ・プラカットとは?

タイや東南アジアを原産とする熱帯魚の仲間です。現在は様々な品種改良がされており、赤、白、青、黒、黄色、ミックス模様などの様々な色の個体がいます。

その色や模様の入り方で、「コイベタ(錦鯉みたいなベタ)」「ニモカラー(カクレクマノミのニモみたいな色をしている)」「ファンシーカラー(カラフルでポップな色をしている)」「ブラックサムライ(黒地に銀色が乗る)」などの色々な名前が付けられています。

なお、品種改良される前の野生の個体は、現地の池や沼、流れのゆるい小川などに生息しています。水草が密生しているような、流れのゆるい場所(かつpHが低い水質)を好むため、飼育環境下でもソレを再現してあげるのが好ましいです。

また、余談ですがベタの仲間は「エラ」が特殊な構造をしており、水面から口を出して空気中の酸素を直接身体(正確にはエラ。肺ではない)に取り込むことが出来ます。そのため、小さなボトルや水槽でも飼育することが可能ですが、繁殖を狙うのならば最低でも10~15リットルの飼育容器を準備してあげることが好ましいです。

ベタ・プラカットの繁殖に必要なもの

<産卵までの準備>
・水槽やプラケースなどの飼育容器(最低でも10~15リットルの水が入るもの)
・浮草ひとつかみ(産卵床の基礎になる)
・成熟したベタのペア(生後6か月ほど~)
・1リットルほどの小さなプラケース(100均のもので十分)

<稚魚の餌>
・ブラインシュリンプ(稚魚の餌)
・粉末状の人工飼料(稚魚の餌)
・食塩100gほど(ブラインシュリンプを孵化させるために必要)
・500MLのペットボトル(ブラインシュリンプを孵化させるために必要)
・1リットルほどの小さなプラケース(100均のもので十分。ブラインシュリンプを孵化させるために必要)
・茶こしシート(ブラインシュリンプを漉し取るのに使う。100均で購入可能)
・大き目のスポイト(ブラインシュリンプを漉し取るのに使う。100均で購入可能)

ベタ・プラカットの産卵について

まずは飼育容器に水道水を入れて、丸1日放置て塩素を抜きます。同時に、浮草をひとつかみ投入して、「泡巣(オスが泡で産卵床を作る)の基礎」にしてあげます。

なお、浮草は最悪なくても大丈夫ですが、あった方がオスの労力が減ったり、魚のストレスが軽減されるので、なるべく水草は用意してあげた方が良いです。(画像では南米ウイローモス&ウォータースプライトを使用しました)

一日放置したら、次にベタのオスを飼育容器に入れます。2~3時間ほど時間をあけてオスが環境にそれなりに落ち着いたら、メスを同じ飼育容器に入れるのですが……直接はまだ入れません。

1リットルくらいの大きさのプラケースにメスを飼育水ごと入れて、「オスとお見合い」をさせるのです。そうすることで、ペアリングが上手く行く可能性が高くなります。オスが泡で巣を作ったり、メスが卵をお腹に持つようになったり(上から見た時に、お腹が膨れる)します。

お見合いから3~7日程の日数を掛けるとペアリングの失敗は少ないです。ただし、ベタが生後5か月未満だと、成熟していないことがありますので、なるべくなら生後6か月以降のペアを繁殖には使った方が上手く行くことが多いようです。

大きな泡巣が出来て、メスも卵を十分に持ったことが確認できたら、いよいよオスとメスを同居させます。オスがメスの前でひれを広げたり、メスを追いかけまわしたりしますが、そのまま1~2日ほど様子を見ます。

※画像の中央斜め左下の方に、卵のかたまりが確認できます。

泡巣の中に、白い粒(卵)が確認できたら、産卵は成功です。泡巣を壊さないように、メスだけを飼育容器からそっと取り出してあげて下さい。(そのままにしているとメスが弱るだけでなく、メスが卵を食べてしまうこともあるからです)

ベタ・プラカットの卵~稚魚の期間について

ベタのオスは、泡巣の下で卵を保護します。これは、卵が孵化して稚魚になるまで同じで、「外敵から卵を守ったり、カビてしまった無精卵を取り除いたり」と丁寧に世話をするのです。

しかし、泡巣から稚魚が自由に泳ぎ始めると、オスの育児は終わります。泡巣から稚魚が飛びだすようになったら、そっとオスを飼育容器から取り出しましょう。こちらも、取り出さないとオスが稚魚を食べてしまうことがあります。

そして、飼育容器内に稚魚だけになったら――いよいよ、ブラインシュリンプ(稚魚用の小さな生餌。甲殻類の仲間)の出番です。

生まれたばかりの稚魚は、3~4日程で餌を食べるようになります。ですが、人工飼料をいきなり食べてくれる子はほとんどいないので、活餌を与えることになります。ブラインシュリンプのセッティングについては、過去記事がありますので、ぜひ覗いてみて下さい。

ベタ・プラカットの稚魚~幼魚への育成について

稚魚にブラインシュリンプを毎日、朝と夕方に与え続けると、水温にもよりますが3~5週間ほどでだいぶ「魚らしい形」になってくれます。そうなってきたら、ブラインシュリンプと併用して粉末状の人工飼料を与えても食べてくれるようになります。

ここまで育てば、あとは少しづつ人工飼料に切り替えて飼育をして行きます。2~3か月過ぎた頃には、2~3㎝ほどのサイズに育ってくれます。

ちなみに、ベタは「混泳させると喧嘩をする」とよく言われます。しかし、プラカットという種類に限定すれば「稚魚の時から一緒に飼育していれば、(同じ稚魚同士なら)混泳も十分可能」です。我が家でもプラカットの白い子達を、90㎝水槽の水草レイアウトの中で7匹混泳させているのですが、生後5~6か月を迎えますが仲良く泳いでくれています。

ベタと一緒に飼育や混泳ができない生き物(ベタが餌にしてしまうので注意!)

ちなみに、ベタは混泳が難しい魚でもあります。肉食性が強いので、「エビ」「巻貝」などとはいっしょに飼育が出来ないのです。ベタの口に入らない大きなエビや貝でも、つつくようにして攻撃してしまいますので、注意してあげて下さい。。

ベタの稚魚は水替えに注意してあげて

ベタの稚魚に生餌のブラインシュリンプを与えていると、水質が悪化しやすいです。ベタの稚魚の尻尾が針のように閉じていたり、稚魚の体に白い斑点がついているのは危険サイン。水質がかなり悪化していますので、早急な水替えが必要です。

しかし、ベタに限らず熱帯魚の稚魚は水質の急変にかなり弱いです。水温が急に下がると白点病などになって全滅しますし、pHショックを起こしたらぽつぽつと死んでしまいます。

なので、水替えをする時には、なるべく「水温を合わせる」「時間をかけて水を入れていく(極端に言えば、コップ1杯ずつくらいの慎重さでもOK)」ということに気をつけてあげて下さい。ちなみに、水温を合わせるには「ため水」をして、室温にそれぞれの水温を合わせておくと管理がしやすいです。

(稚魚には、「ため水のpHを飼育水に合わせてあげるとさらに良い」と言われていますが、ベタ・プラカットの場合はそこまでしなくても、時間をかけて水を入れていくことで対応可能だと感じています。ベタの原種など神経質な種類は、配慮してあげる必要がありますが……)

なお水質浄化のために、スポンジフィルターや水草を入れていても、水替えは必須です。魚の状態や水の状態をみながら水替えをしてあげて下さい。

まとめ・ベタの繁殖や混泳について

ここまでベタ・プラカットの繁殖について紹介してきました。ベタの繁殖は、「ブラインシュリンプを与えること」と「水質悪化に注意すること」にさえ気をつければ、比較的簡単に成功させることができます。

また、増えた場合も最初から混泳させておけば大人になっても混泳が可能ですので、管理もしやすいかと思います。(一度、別々の水槽に分けた個体同士は混泳させるのはお勧めできませんが)

ベタ・プラカットにはいろいろな品種がありますし、自分だけの柄を求める楽しさもあります。これから暖かくなる季節です。ぜひ、ベタ・プラカットの飼育も楽しんでみませんか?